「コーヒー業界の下積み歴もツテもほとんどなくオープンして、お店や個人に知名度があるわけでもなかったので、何か実績や経歴が欲しいと思っていました」。世界一のシングルオリジンコーヒーを発掘する競技会『COFFEE COLLECTION WORLD DISCOVER』の覇者、澤野井泰成さんはハイブランドのアパレル業界から食にかかわるプロを育成する専門学校を経て転身した。好きなファッションデザイナーが、パリの住宅を花で囲うというショーからインスパイアされたという2階の内装は「店の雰囲気に惹かれて多くの人が来てくれれば認知度も上がるし、そこから実力を付けていければいいかなと考えて。そして、何よりも自分のアパレル時代からの自分の表現の手段でもあります」。そんなABOUT US COFFEEの店名には、たくさんの意味とメッセージが込められている。中でも『US（私たち）』に込めた『多様性』は、店として掲げるテーマ。これは、浅煎り主体のラインナップに、しっかり2ハゼまで入った深煎りを揃える商品展開からも伺える。業界経験ゼロから、自分の力で道を切り開いてきた澤野井さんだからこそ表現できる多様性を、コーヒーと共に届ける。