語り手: 店主 / 安藤 久雄
日々に寄り添う焙煎から、街に溶け込む一杯へ
吉祥寺のコーヒースタンド〈SIDEWALK STAND INOKASHIRA〉で経験を積んだ安藤久雄さんは、2019年9月にハモニカ横丁の2坪の空間を借りて間借り営業をスタート。焙煎にはシェアローストを用い、限られた環境の中で自身の味を少しずつ形にしていった。丁寧に淹れられる一杯は口コミで広がり、次第に知られる存在に。
そして2025年6月、五日市街道沿いに焙煎所を併設した新しい店舗をオープン。「駅から離れた代わりに、近隣の人々が多く豆を買いに訪れるようになりました。浅煎りに馴染みのない方にも、その魅力を少しずつ伝えていけたらと思っています」。焙煎機を中心に据えたシンプルな空間で、豆の個性をまっすぐに伝えている。
これまでの延長線上にありながら、豆の選定から焙煎、抽出までを一貫して行う体制を整えた。「毎日のように飲める心地良いコーヒーであることを意識しています」。シングルオリジンでは浅煎りを、ブレンドでは深煎りを中心に幅を持たせ、飲む人それぞれの日常の一杯に寄り添う。敷地内には卸先でもある善福寺に本店を構えるカフェ〈nido〉があり、そこで作られる焼き菓子も販売。日常に寄り添うコーヒーとお菓子の組み合わせが、地域にやさしく溶け込んでいる。
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