国内外の競技会で名を馳せ、抽出と焙煎というコーヒーの両軸で実績を残してきた希有な存在、畠山大輝さん。2019年にジャパン ブリュワーズ カップ(JBrC)とジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ(JHDC)で二冠を達成し、2021年のWBrCでは準優勝。2022年のジャパン コーヒーロースティング チャンピオンシップ(JCRC)準優勝を経て、2024年には再びJBrCを制した。競技の舞台で培った表現の精度と伝える力は、埼玉・宮代町に構える自身の焙煎所にも息づいている。「競技を通して最も磨かれたのは、スキルアップだと思います。なんとか攻略してやろうと試行錯誤する過程が、自分の成長に繋がっていった感覚があります。焙煎に関しては、特にお店の仕事に直結していて、ネガティブな味を出さないようにする。その意識は、競技で培った考え方が大きく生きていると思います」。
焙煎スペースにカウンター席を併設した小さな店には、全国からファンが訪れる。競技者としてだけでなく、日々の抽出検証や研究過程をSNSで発信してきた姿勢も、多くの共感を集めてきた。こうした取り組みには、競技で培った技術だけでなく、日々の検証や考え方も反映されている。「コーヒーが美味しくなることって、すごく価値があると思うんです。その知識を自分だけで秘めておくのはもったいないなと感じていて。今まで興味がなかった人でも、発信をきっかけにやってみたら美味しくなったと感じてもらえるのは意味があることだと思います。そのためのちょっとしたコツを多くの人に伝えられれば、業界全体も少しずつ良くなっていく。そういう広がりにこそ、大きな価値を感じています」。知識を共有しながら、自分自身もまたコーヒーと向き合い続けている。その探究の姿勢こそ、畠山さんの原動力だ。
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