語り手: 店主/和田 毅典
自由な発想が生む、唯一無二のコーヒー
「美味しいコーヒーを淹れるには、まず“音”を聞け。」もしそんな格言があったとしたら、ここの店主・和田毅典さんは、それを体現する存在かもしれない。元・音響メーカーの技術者という異色の経歴を持つ和田さん。焙煎を学ぶために選んだのは、自作のロースターだ。コーヒーの香りが変化する音、豆が膨らむわずかなリズム。それらを研ぎ澄まされた感覚で捉え、独学で焙煎を極めた。
店頭に並ぶのは、2種類のブレンドと中深煎りを中心としたシングルオリジン。その中でもチェットブレンドは、コロンビアを軸にケニアとパプアニューギニアを絶妙に配合。スッキリしつつも奥行きのある味わいで、多くのファンを魅了している。もう一つ、この店を象徴するのが「ぷれみあむコーヒー」。点滴のようにじっくり抽出する独自の手法で、豆本来の風味を最大限に引き出す。まるで一音一音を調律するように、繊細に仕上げられた一杯。その味わいには、既存の枠にとらわれない自由な発想と、徹底した職人技が詰まっている。
- Tags