語り手: 店主 / 杤久保 竜
豊橋の片隅に佇むトレーラーハウスの店舗。「ストーリーのある一杯」を目指し、地元のコーヒーロースターで焙煎業務を経験した杤久保竜さんが営むこの店では、生産地の風景や農園の人々の思いをコーヒーに込めて届けている。独立を決意したのは、ルワンダのギシャンブで出会った農園の光景が大きなきっかけだった。豊かな自然の中で丁寧にコーヒーを育む生産者の姿に心を動かされ、「ただ美味しいだけではなく、その背景にある物語を伝えたい」という思いが芽生えた。以来、ルワンダ・ギシャンブの豆は常に店に据えられている。
小さなトレーラーハウスに並ぶ豆のラインナップは、浅煎りから中深煎りまで、日常のどんなシーンにも合う一杯を提案している。テイクアウトをメインにしつつ、店舗内のわずかなスペースで楽しむことも可能だ。「ここにあるコーヒーは、ただの飲み物じゃなく、農園で豆を育てている人たちの思いや努力を伝え、飲む人とつなぐ架け橋のような存在だと思っています」。街の隅でひっそりと動き出した小さな焙煎所だが、その一杯に込められた思いはどこまでも深い。
- Tags