ベーカリー併設の建物2階に位置する卸町店。1階のパンをそのまま持ち込める気軽さも魅力だ。パンの香りに包まれながら階段を上がると、静かに焙煎機が構える空間が現れる。店主の松木勇介さんは丸山珈琲で3年間研鑽を積み、地元・仙台で独立。現在は3店舗を展開している。ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ(JCRC)では2023年に準優勝、国内トップクラスの存在感を放っている。

競技会への出場やジャッジとしての活動も積極的に取り組み、コーヒーシーンの最前線に触れながら、その感覚を自らの焙煎に落とし込み、日々のアップデートにつなげている。その探究心は抽出にも向けられ、各店舗にはハンドドリップ、サイフォン、エアロプレス、セミオートドリップマシンと、多彩な抽出方法を使い分けている。ペアリングにも力を注ぎ、「コーヒーを引き立てるフードなら、さらに一杯をブラッシュアップしてくれる」と語る。その言葉どおり、店では一杯の味を高めるための工夫が積み重ねられている。あくまで主役はコーヒー。提供されるフードもすべて、コーヒーをより美味しく楽しめるよう考えられている。