語り手: オーナー/大貫 健晴
日常の焙煎を貫く。競技会でも揺るがない技術
競技会だからといって、特別なことはしない。積み重ねてきた焙煎を、そのままぶつける。店主・大貫健晴さんは、2024年のJapan Coffee Roasting Championship(JCRC)に初めて挑戦し、見事優勝を果たした。そして、続く豊潤富士カップ国際焙煎大会2025日本予選会では準優勝を獲得。国内の主要な焙煎競技会で結果を残し、その実力を証明した。「特別なことはせず、いつも通りに焼く。それでどこまで通用するのかを試したかったんです」。その思いを胸に挑んだ大会で、自身の焙煎技術が全国トップレベルであることを証明した。優勝の知らせを聞いた常連客は、自分のことのように喜んでくれたという。
店を開いた当初、水戸で浅煎りのコーヒーがどこまで受け入れられるか不安もあったが、思いのほか自然に受け入れられ、徐々にファンが増えていった。今では、地域の人々に愛される店となり、焙煎技術を求めて全国から訪れる客もいる。また、毎週土曜日の朝に行うパブリックカッピングには、県内のバリスタやロースターも集まるようになった。異なる視点からの意見交換ができる貴重な場となり、自身も学びを深めているという。JCRCでの優勝は通過点にすぎず、競技会でも日常でも変わらない姿勢こそが、大貫さんのコーヒーの魅力なのかもしれない。
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