語り手: 店主/下司 意
地に足をつけたコーヒーの魅力を追い求めて
ニューヨークで過ごした短期留学中に、コーヒーショップの独特な空気に魅了された下司意さんが、その感覚を追い求めて始めたのが〈MURRMA COFFEE STOP〉。2017年、初台のオフィスと住宅街が交錯するエリアに、静かに息づくその店は、オーストラリア先住民の言葉に由来する店名を持つ。「ムルマ」は、「水の中で足を踏みしめて何かを探す」という意味。この名前には、しっかりと地に足をつけてコーヒーの本質を追い求める姿勢が込められている。
店内に足を踏み入れると、そこはまるで別世界。風味を最大限に引き出した浅煎りのコーヒーが、農園や豆の特徴をシンプルに表現している。そのラインナップはどれも、素材そのものの魅力を感じさせる味わいばかりだ。カウンター5席という小さな空間には、平日はオフィスワーカーが、週末は近隣の住民が集まり、静寂と活気が絶妙に交差する。この小さなコーヒーショップは、ただの休息の場ではない。ここには、コーヒーを通じて味わう瞬間の豊かさが広がっている。
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