語り手: 代表 / 矢島 果歩莉
かけらに寄り添う一杯を
公園と川沿いに囲まれた、穏やかなエリアに店を構える〈Piece by Piece coffee〉。店主の矢島果歩莉さんが、学生時代に北欧のコーヒー文化に魅せられ、とりわけスウェーデンで親しまれている、お茶とおしゃべりを楽しむ文化“fika”に影響を受けたことが、この店のはじまりとなった。2018年のオープン当初は、コーヒーの勉強をしながらの日々で、カフェとしての側面が強かった。それから少しずつ焙煎にも向き合うようになり、コーヒーを軸に据えた現在のスタイルへと舵を切った。
環境や生産過程に配慮された豆を中心に、好みの地域や農園からセレクト。フジローヤルの直火式と半熱風式、2台の焙煎機を使い分けながら、「その豆のいちばん引き出したいフレーバーや感覚をひとつ定め、エイジングによる変化も見越して、多くても2〜3個の香味の目的を決めて焙煎しています」と語る。飲んだときに心地よさが残るような、やわらかな余韻のある焙煎。コーヒーのある時間そのものを楽しんでほしいという思いが、カップの中にそっと滲む。サイクルショップに併設された空間には、風通しのいい心地よさが流れている。焼き菓子も並ぶカウンターからは、地域とのささやかなつながりが感じられる。
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