焙煎の新しいカタチ、自由に挑戦できるシェアローストの世界

焙煎というプロセスは、より深くコーヒーに関わる特別な体験だ。しかし、焙煎を学びたくても、高価な焙煎機を個人で用意するのは難しく、初心者が気軽に挑戦できる環境は限られている。そんな中、「シェアロースト」という新しい選択肢が生まれた。
焙煎を学ぶハードルを下げ、多くの人に開かれた場を作る──そんな思いから、このシェアローストのサービスは始まった。運営するBERTH COFFEE ROASTERY Haruの事業責任者兼焙煎士・西村結衣さんは、学生時代からコーヒーに親しみ、焙煎の魅力に取り憑かれた一人のロースターだ。自身の経験をもとに、焙煎をもっと身近なものにしたいと考えたことが、このサービスの原点となっている。
シェアローストという新しい選択肢がどのように生まれ、どのように活用されているのか。実際に利用する人々の様子、初心者でも挑戦できる仕組みを通じて、その魅力を探っていく。
シェアローストを始めた理由
「焙煎をやってみたいけど、設備もないし難しそう…」と感じる人は多いですよね。ゆいさんも最初はそういう壁を感じましたか?

大学時代からコーヒーが好きで、様々な抽出のセミナーなどに参加していました。
あるとき焙煎セミナーに参加して、今後ももっと焙煎を学んでみたい!と思ったのですが、当時焙煎機を貸してくれるような場所はあまりありませんでした。あったとしても年会費や利用料金が高額で、学生にはなかなか継続的に続けることができませんでした。
ですよね。シェアローストをしている場所はほとんど見かけませんでした。

シェアローストは「焙煎を学びたいのになかなかできない」という、自身の歯がゆい経験から生まれたサービスです。
もし自分がロースタリーをオープンさせたら、少しでも焙煎のハードルを下げ、焙煎にチャレンジできる場所を作りたい、と思ったことがきっかけです。

誰でも利用できるシェアロースト
その思いに共感する人は多そう!
実際、どのような方が利用されてるんですか?

すごく幅広いですよ。趣味で月に一度焙煎する方もいれば、仕事で週に何度も来る方もいるし、「とにかく一度焙煎を体験してみたい!」という初心者の方もいます。
「コーヒーが好きだから、焙煎もやってみたい」っていう気持ちだけで来てもらえたら、それだけで十分。気軽に焙煎に触れられる場所になっていると思います。
初心者の方も多いとのことですが、焙煎のやり方はすぐに覚えられるものなんですか?

もちろん。最初に1時間の初回講習を受けてもらうのですが、ここで焙煎機の使い方を説明して、実際にデモンストレーションを行います。それが終われば、もう自由にシェアローストのサービスを利用できるようになります。
もし操作を忘れてしまっても、スタッフは全員焙煎の知識があるので、しっかりフォローしますよ。
初回講習の料金も、コーヒー生豆1kg込みで4,000円なので、そこまでハードルは高くないかなと!

使える焙煎機と焙煎量
初回講習を受ければすぐに焙煎を始められるとのことですが、実際に使う焙煎機を教えてください。

焙煎機はアメリカ製のLoring(ローリング)社の7kg釜のものをご使用いただけます。
Loringですか!

そうなんです、Loringは循環式の完全熱風焙煎機なので、豆の内部まで均等に熱が行き渡りやすいのが特徴です。焙煎ムラや生焼けを起こしにくいので、初心者の方にもおすすめです。
とてもクリーンでバランスのいい味わいになることが多いです。

初心者でも扱いやすいのはいいですね。

はい、他にも熱効率がとてもいいので、環境にも配慮された設計になっています。排気のクリーンさも特徴のひとつで、スモークレスに近い焙煎ができます。
一度にどのくらいの量の豆を焙煎できますか?

1kg〜7kgまで焙煎が可能ですが、3〜5kgくらいが安定して焼くことができるのでお勧めです。

なるほど。焙煎の操作は難しいですか?

タッチパネルでの簡単な操作のため、慣れれば効率的に操作できます。
予約・料金・利用のしやすさ
予約は簡単にできますか?

専用の予約サイトからご予約いただけます。
美容院の予約をとるような感覚で、とても簡単にできます!

シェアローストを利用しているユーザーの成功事例や体験談があれば教えてください。

焙煎をしたことがない方たちが、自身のブランドやお店をオープンした時は、とてもうれしいです。ようやく自分の焙煎機を購入してシェアローストを卒業する方も多いですが、さみしくもうれしい、そんな複雑な気持ちです。
焙煎機を持つことは、ロースターにとって夢が形になる瞬間ですね。
ちなみに、利用料金はどのくらいですか?

1時間3,500円、2時間6,500円、3時間9,000円です。
運営する中で、ここは予想以上に大変だった!ということはありますか?

今は特に難しいと感じていることはありませんが、そもそもはBERTH COFFEEの豆を焼くためにLoringを購入したので、今後自社での焙煎がたくさん増えてくると、貸せる時間が減っていってしまうかもしれません。
え、シェアローストができなくなるんですか?

まだだいぶ先の話だとは思いますが、可能性はあります。でも、できるかぎりの間はシェアローストも継続していくつもりです。
焙煎に興味がある人へメッセージ
シェアローストが気軽に使えたあの頃が、懐かしく思える日が来るかもしれませんね。
もし、焙煎をやってみたいけど迷っている人がいたら?

学生時代の自分のように、焙煎にチャレンジしてみたくても踏みとどまっている方がいれば、ぜひチャレンジしてみてほしいです。
焙煎には抽出とはまた違った楽しみがあり、生産国の特徴や、生産者を理解するきっかけを与えてくれます。
わからないことがあれば、いつでもお店に遊びに来てください!

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