ドーナツとコーヒー、最強の組み合わせを語ろう

「ドーナツとコーヒー」という組み合わせは、親しみやすい定番でありながら、実は奥深いペアリングの世界が広がっている。ドーナツとコーヒーが織りなす絶妙なバランス。その組み合わせにこだわりを持ち、どちらも自ら手がけるのが香川県の高松に店を構える〈COPOLI DOUGHNUTS〉と〈JEFFERSON COFFEE〉を運営する魚岸大嗣さんだ。
今回は、ドーナツとコーヒーがどう互いを引き立て合うのか、そしてどんなフレーバーのコーヒーがどのドーナツと相性がいいのかを中心に、話を伺った。シンプルな組み合わせの中にも、いろいろな工夫が感じられる。魚岸さんの話を聞くことで、その魅力がさらに明確になるだろう。
ドーナツとコーヒーへの情熱の始まり
ドーナツもコーヒーも自家製で手がけているお店って、めずらしいですよね。

はい、実は〈COPOLI DOUGHNUTS〉のコーヒー部門が〈JEFFERSON COFFEE〉という形で運営しています。
夫婦二人で営む、かなり小さなドーナツ屋とコーヒー屋です。
コーヒーを始めたきっかけ、ドーナツを始めたきっかけ、そして両方をやろうと思ったきっかけはなんですか?

コーヒーは、鮮明なティスティングノートを感じる一杯を飲んだことがきっかけです。「こんな世界があるのか!」と強く衝撃を受け、自分も挑戦したいと思いました。
ドーナツは、今の物件と出会えたことがきっかけです。物件を内覧した際に、「どんなお店にしたいか」を考えていた時、ドーナツというアイデアが降りてきました。イメージが鮮明に湧いたという感じですね。
両立については、まだ道半ばだと思っています(笑)。どちらも発展途上なので、もっと高めていかないといけないです。

鮮明なティスティングノートを感じる一杯、気になりますね!

その当時、2013年頃は著しく苦いか酸っぱいコーヒーが多いなか、バランスのいい飲み口のコーヒーはこんなにフレーバーを強く感じられるんだと思いました。
ドーナツとコーヒーの理想的なペアリング
どのようなフレーバーのドーナツが、どんなコーヒーと相性がいいと思いますか?

私たちのドーナツは、甘くて重いものではなく、歯切れと口溶けにこだわった軽いドーナツです。これらのドーナツには、バランスのとれた浅煎りから中煎りのコーヒーが合います。
どのフレーバーのドーナツとも相性がよく、互いのフレーバーを引き立て合います。
さらに細かく、浅煎りと中煎りのコーヒーには、それぞれどんなドーナツが合うと思いますか?

浅煎りには、季節のフルーツを使ったドーナツがおすすめです。
中煎りは、〈COPOLI DOUGHNUTS〉お得意の和ドーナツ。あんこやきなこ、ごま、豆類など、和の素材を使ったものがすごく相性がいいです。
あんこやきなこを使ったドーナツ、相性がよさそうですね!

私の最高の組合せは、あんドーナツとバランスのいい中浅煎りのコーヒーです!

ドーナツの素材や製法によって、ペアリングするコーヒーはどう変わりますか?

できるだけ軽いテイストに仕上げることで、素材そのものの味わいが生きてきます。コーヒーも、それに合わせて軽やかでバランスの取れたものに仕上げています。
ドーナツとコーヒーのペアリングに、今後どのような可能性があると思いますか?

ドーナツを極めた専門店と、コーヒーを極めた専門店がタッグを組んだら面白そうだなと思います。
私たちがそれをできたら、一番最高です!
素材と製法へのこだわり
ドーナツやコーヒーを作るときに、どの工程が最もクリエイティブだと感じますか?

ドーナツは、いい材料を見つけたとき、コーヒーも同じでいい生豆を見つけたとき。
どちらもその時、頭の中でイメージがぐるぐると巡り出します。
ドーナツの製法に関して、〈COPOLI DOUGHNUTS〉独自のこだわりがあれば教えてください。

昨今の流れとは違い、リングドーナツの生地は加水と油脂をギリギリまで少なくしています。
またグルテンをできるだけ作らない。それにより私たちの目指す歯切れと口溶けの良さが生まれます。

ドーナツの製法に関して、さらにこだわっているポイントはありますか?

フィリングを包むタイプのドーナツには、こだわりがあります。先にフィリングを包んでから揚げることで、生地とフィリングがしっかりと一体化します。
一般的な、揚げた後にクリームなどを注入するタイプに比べ、生地とフィリングの一体感が格段に優れています。特に、この生地は歯切れの良さが特徴です。歯切れの悪い生地だと、噛み切る際に中のフィリングが飛び出してしまうことがありますが、うちの生地なら、噛んだ瞬間にフィリングが口の中に広がり、生地との一体感をより感じていただけます。
素材を選ぶときに、どんな基準を大切にしていますか?

どちらもまずは安心・安全であることが大前提です。そのうえで、ドーナツは身近な存在であり、あまり高価なものは選ばないようにして、ちょっといいものを意識しています。
コーヒーは広義の意味も込めて、デイリーなものからTop of Topの高価格帯なものまで扱います。
先入観なく、新たなドーナツとコーヒーの魅力を
お店を通じて、お客さんにどんな体験や気持ちを届けたいと考えていますか?

ドーナツは狭義で、コーヒーは広義というふうに捉えてます。
ドーナツは私たちが生み出したそのものの味を感じていただきたいという、シンプルな感覚です。
でもコーヒーはもっと広いイメージで、私達らしいコーヒーを感じていただきたい、さらに広い意味でコーヒーの世界観を感じていただきたいと思っています。
ドーナツとコーヒー、それぞれに込めた「らしさ」とはどんなものですか?

あまり自己主張や自己分析が得意ではないこともあり、「うちらしさ」みたいなことは言わないようにしています。
ドーナツもコーヒーも、私たちの手がかかった時点で私達らしさみたいなエッセンスは加わると思うので、先入観なく味わってもらえたらと思ってます。

ドーナツとコーヒーのカルチャーと進化
ドーナツとコーヒーの組み合わせが作り出す「カルチャー」について、どう感じていますか?

ひと昔前は、ドーナツとコーヒーといえばアメリカンなテイストや、朝食・軽食といったイメージが強かったと思います。でも最近は、それぞれの専門性を高めたお店が増えて、ドーナツとコーヒーの組み合わせも進化してきました。
私たちが目指すのは、どちらも極めた先の、洗練された組合せをイメージしています。
ここ数年で、ドーナツやコーヒーの楽しみ方に変化を感じることはありますか?

それぞれこだわりや高いクオリティーを持ったアイテム同士を組合せて楽しむ、もしくはそれを提案するお店が増えてきたように思います。
最初に味わってほしいおすすめと最高の瞬間
初めて〈COPOLI DOUGHNUTS〉に来た方に「まずはこれを試してほしい!」というおすすめの組み合わせは?

まずは、生地本来の味わいがしっかり感じられる、シュガーやきび砂糖のドーナツをおすすめします。
合わせるコーヒーは、バランスの取れた味わいのウォッシュドのコーヒーがオススメです。シンプルだからこそ、お互いの美味しさが引き立ちます。
いただいたきび砂糖のドーナツ、本当に美味しかったです!バランスの取れた浅煎りのコーヒーを合わせた時に、さらに美味しさが引き立ちました!

それとあんドーナツ!あんドーナツは私たちのシグネチャードーナツです笑

パン屋さんのあんドーナツでなくて、ドーナツ屋さんのあんドーナツ!
コーヒーとあんこってすごく相性いいですよね!

あんドーナツ用のあんこを探しても糖度が高いあんこしか紹介されず、それならばと当初は自分たちで炊いてましたが、そう簡単ではありませんでした。
ある時、一番上質なあんこを試してみたところ「これだ!」ってなりました。北海道大粒小豆に白双糖の上品な甘さが、うちのドーナツ生地と相まって最高のあんドーナツが完成しました。
あんドーナツもすごく美味しかったです!粒あんとドーナツ生地の組み合わせが最高で、またすぐにでも食べたいなぁ
最後に、記憶に残る 「最高のドーナツとコーヒーの瞬間」を教えてください。

最高にうまくできたドーナツと、最高の焙煎と抽出ができたコーヒーの組合せは、まさに最高です!
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