メリタ(Melitta)流コーヒー体験──歴史と技術が生んだフィルターの奥深い魅力

コーヒーを淹れる楽しみとおいしさを追求する中で、何気なく使っているハンドドリップ器具。その原点は、1908年にドイツの主婦メリタ・ベンツ(Melitta Bentz)が自宅のキッチ ンで発明したペーパードリップに遡る。「家族にもっとおいしいコーヒーを飲んで喜んでもらいたい」という想いが形になり、今では世界中で愛される抽出方法となった。
その精神を受け継ぎながら進化を遂げたのが、メリタのコーヒーフィルターだ。特徴的な台形デザインと一つ穴構造が、美味しさを引き出すための工夫の結晶となっている。特に、メリタジャパン独自のラインナップは、多彩なシーンに合わせた選択肢を提供している。
今回は、これらのフィルターに込められた想いや開発背景を深掘りし、メリタジャパン株式会社の宮本紀久さん、熊崎千夏子さん、村上伸子さんから伺った貴重な視点を交えながら、その魅力に迫る。これを読めば、いつもの一杯がもっと特別なものになるはず。
フィルター開発の原点
メリタのフィルター開発において、そもそもどんなきっかけや背景があったのでしょうか?

今では当たり前のペーパードリップは、ドイツ人の主婦、メリタ・ベンツさんが「自宅で家族にもっとおいしいコーヒーを飲んで喜んでもらいたい」という気持ちから世界で初めて紙でコーヒーを濾す、という発明をしました。
その発明の原点にある思いを受け継ぎ、メリタジャパンでは、「コーヒーを淹れる」が、みんなの「うれしい」を目指した製品・サービスを提供しています。特に日本独自のハンドドリップ用フィルターにおいても、その思いを大切にしています。
時代や市場のニーズが変わっても、創業当時の思いを守り続ける姿勢が、メリタフィルターの大きな魅力ですね!

ありがとうございます。
メリタにしかない創業のオリジンをこれからも大切にしていきたいと思っています。

なぜ「ドリッパー」ではなく「フィルター」と呼ぶのか
そういえば、他のメーカーでは「ドリッパー」と呼ばれる器具のことを、メリタでは「フィルター」と呼びますよね。これにはなにか理由があるんですか?

日本では一般的に「ドリッパー」と呼ばれる器具ですが、ドリップという概念がない時代に考案されたため、メリタではろ過を意味する「フィルター」と称し、今も受け継いでいます。
抽出の5大要素は、お湯の温度、お湯の量、抽出時間、粉の量、粉の細かさですが、メリタのフィルター開発では、お湯の量と抽出時間をフィルター自体がコントロールすることを大前提としています。
抽出時間とお湯の量を台形フィルター自体がコントロールするということですね。だから味のブレが少なくなる。

すべてのメリタのフィルターに共通していることは、台形かつ一つ穴であることです。円錐型はお湯が抜けやすいのでお湯を分けて入れることでコントロールしなければならないですが、それによってえぐみや雑味が出やすくなります。
メリタ式は蒸らし後、一回でお湯を入れるので湯量もコントロールしやすく、あとは抽出時間を器具がコントロールしているので、えぐみや雑味が出にくく、毎回決まった味を出すことが可能です。
フィルター5種の特徴
メリタには、さまざまな種類のコーヒーフィルターがありますが、それぞれの特徴や違いについて教えてください。

それぞれの特徴や違いについてお伝えしますと。





フィルターごとに最適なコーヒーとは? 淹れ方のコツ
それぞれの特徴が分かりやすいですね!
フィルターによって、おすすめのコーヒー豆やレシピがあれば教えてください。

プレミアムフィルターは味調整の自由度が高いので、高価なスペシャルティコーヒーを試しに入れるのにはハードルが高いと感じる方には、まずアロマフィルターやクリアフィルターで試していただきたいです。
多くのドリッパーは抽出における条件が、お湯のかけ方・お湯の量・粉の量など、検証する要素が多いですが、アロマフィルターやクリアフィルターは淹れ方に左右されず、粉の量の増減でコントロールできるため味の検証をしやすいです。
特に苦味やボディ感のあるコーヒーを楽しみたい、という方にはアロマフィルターがおすすめです。

実際に淹れると、味や香りにどんな違いが生まれるのでしょうか?

アロマフィルター、クリアフィルターに関しては、抽出時間をフィルターがしっかりとコントロールするので、未抽出が少なくボディ感・おいしい部分を出せて、かつアフターテイストにざらつきがなく、クリアに抽出できます。
プレミアムフィルターは、実はひとつ穴のサイズやリブにもこだわっています。もっと淹れ方を楽しみたい、という方には、プレミアムフィルターもおすすめです。プレミアムフィルターはアロマフィルターやクリアフィルターと違って注湯目安のラインがないので、ある程度のラインまで淹れたら、落ちるお湯と淹れるお湯を同じ量にしてフィルター内の湯量を一定に保つように淹れてみてください。
こだわりと市場の評価
開発時に特にこだわった点は?

100年以上前の発明当時から、「誰でも、簡単に、おいしいコーヒーを楽しめること」にこだわり続けています。
市場やユーザーからの反響で印象に残っていることはありますか?

大手を含めたロースターさんが、社内テストでメリタのフィルターを使ってくださっていると聞いております!
豆の味の決め手にお役立ていただいている、というところが非常に誇らしくあります。
フィルターを楽しむシーンと使い方のアドバイス
どのようなユーザー層をターゲットにしているのでしょうか?

ユーザー層ではないのですが、製品ごとのおすすめの使用シーンとして、アロマフィルター、クリアフィルターは、特に簡単に淹れられるので、朝の忙しい時間など毎日のコーヒーシーンにおすすめです。
プレミアムフィルターは、さらに自分の味を追求したい方に。
edoコーヒーフィルターは、誰かをおもてなししたい時など、特別な時間に使っていただきたいです。
初めて使う方へのアドバイスがあればお願いします。

コクやボディ感が欲しい場合はメリタのフィルターを試してみてください。
あとはとにかく、難しいことはわからないけど、おいしいコーヒーが飲みたい、という方はぜひアロマフィルターを使ってみてください。1杯分の粉は付属のメジャースプーンで量って8g。蒸らしのあと、線までお湯を一気に注ぐだけです。

最後に、メリタジャパンについて教えていただけますか?

メリタジャパンは2024年に50周年を迎え、原点にあったメリタ婦人の思い、「おいしいコーヒーを淹れたい」「喜んでもらいたい」「喜んでもらえるとうれしい」に立ち返りました。
「コーヒーを淹れる」が、「みんなのうれしい」に。の実現に向け、これからも、コーヒーを淹れる方、提供される方、そしてそのコーヒーを飲み、「おいしい!」と喜ぶ方、そこにいるすべての方にとって「うれしい」につながる、製品・サービスを展開してまいります。

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