若きロースターたちが挑む1CCC、その決勝はどんな場所だったのか?
35歳以下の若手ロースターを対象としたコーヒー競技会〈1ST CRACK COFFEE CHALLENGE (1CCC)〉。全国からエントリーした80名のうち、予選を通過した6名のファイナリストが決勝の舞台へと駒を進めた。
〈1CCC〉は焙煎技術の精度にとどまらず、「コーヒーを通じて何を伝えるか」という個性の表現も問われる競技である。決勝大会当日の流れとともに、〈1CCC〉の概要と会場の模様をレポートする。
若きロースターたちの、熱い一日
2026年8月28日、渋谷・東京カルチャーカルチャーで1ST CRACK COFFEE CHALLENGE 2026の決勝大会が開催された。今年は全国から80名がエントリー。その中から予選を勝ち抜いた6名のロースターが、決勝の舞台に立った。ステージ上には焙煎したコーヒーを抽出するための器具が並び、これから始まる15分間のプレゼンテーションを前に、会場にはほどよい緊張感が漂う。
決勝の舞台でファイナリストを待っていたのは、それぞれ15分間のプレゼンテーション。焙煎したコーヒーを抽出し、一杯を届けながら、自らの考えを伝える。

そもそも1CCCとは?
〈1ST CRACK COFFEE CHALLENGE (1CCC)〉は、焙煎機メーカーのGiesen Japanが主催する、35歳以下の若手ロースターを対象としたコーヒーの競技会だ。2022年にスタートし、若手ロースターの発掘・育成を目的に開催されている。
最大の特徴は、あらかじめ示された「モデル豆」の味わいを自らの焙煎でどこまで再現できるかを競う点にある。豆の個性を読み取り、狙った味わいへ近づけるプロセスには、ロースターとしての技術だけでなく、素材を深く読み解く観察力が求められる。

決勝に進んだ6名のロースター
決勝大会へ進んだのは、全国から集まった6名のロースターだ。80名のエントリーから、どのようにしてこの6名が選ばれたのだろうか。
今回の課題豆には、タンザニアのウォッシュド(生産者: カンジ ラルジ農園、品種: N39/コンパクト/ルイル11/バティアン)が選ばれた。参加者はこの豆を焙煎し、主催者が用意した「モデル焙煎豆」の味わいをどこまで再現できるかに挑んだ。
予選審査では、FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)分析やアグトロンスケールを用いて「モデル焙煎豆」との差異を科学的に測定。さらにカッピングによる官能評価も加え、データと感覚の両面から総合的に順位が決定された。
ここで上位12名に絞られ、続くミニプレゼンテーション審査へ。決勝大会のテーマについて、自身がどのような視点からプレゼンテーションを行うのかを90秒以内の動画にまとめ、臨んだ。
こうして選ばれたファイナリスト6名が、8月28日の決勝大会へと進んだ。
- 小西雄太 (COFFEE LAB KOMAMEYA)
- 田端涼輔 (やまねこコーヒー)
- 新美信悟 (COFFEE ROASTERY NIM)
- 門ノ澤大介 (Linen)
- 福本彩乃 (COFFEE ROASTERY101/尾州暁珈琲焙煎所)
- 橋本雄大 (COFFEEMAN good)
決勝レポート
いよいよ始まった決勝大会。ファイナリストに与えられた時間は、それぞれ15分。テーマは「あなたがロースターとして生み出す『次の熱狂』とは何か」。地域社会や顧客とのつながり、そして10年後のコーヒー業界にどんな新しい価値を提示するのか。それぞれが思い描くコーヒーの未来を、言葉と一杯のコーヒーで表現した。
プレゼンテーションに先立ち、自身が焙煎したコーヒーを使ったウェルカムドリンクを用意。会場ではそのコーヒーが実際に振る舞われ、参加者はそれぞれの焙煎を味わうことができた。さらに、この一杯はプレゼンテーションの中でも使用される。自ら焙煎したコーヒーを飲んでもらいながら、その背景や自身の考えを伝えるのも、今回の決勝の特徴だ。

決勝の舞台に立ったロースターたち。それぞれがどんな思いで、この大会に臨んだのか。同じテーマを与えられていても、そのアプローチはさまざまだった。地方都市におけるスペシャルティコーヒーの認知度に目を向ける視点もあれば、日本文化との融合から新たな価値を提案するアイデア、イベントや競技会を通じてコーヒーの魅力を広げようとする考えもあった。それぞれが異なる視点から、自分にとっての「次の熱狂」を描いていく。
そして、すべてのプレゼンテーションを終え、結果発表へ。優勝に輝いたのは新美信悟さん。エンジニアとして働くかたわら、休日にはイベント出店やECでのコーヒー販売を行う新美さん。プレゼンテーションでは、審査員に直接問いかけながら対話を生み、会場を巻き込みながら「コーヒーで人と繋がる」という自身の考えを伝えた。コーヒーそのものだけでなく、人との関係をつくる力も印象に残るプレゼンテーションだった。2位はCOFFEEMAN goodの橋本雄大さん。3位にはCOFFEE LAB KOMAMEYAの小西雄太さんが選ばれた。
- 1位 新美信悟 149点
- 2位 橋本雄大 (COFFEEMAN good) 145点
- 3位 小西雄太 (COFFEE LAB KOMAMEYA) 144点

15分という限られた時間のなかで、ファイナリストが語った内容は実にさまざまだった。それでも、実際にプレゼンテーションを見ていると、ひとつの共通点が浮かび上がってくる。誰もが、コーヒーを「おいしい一杯」として届けることの、その先を見つめていた。
焙煎だけではない、1CCCという競技
〈1CCC〉を実際に見ていて印象的だったのは、焙煎の技術だけではなく、ロースターとして「何を届けたいのか」まで問われていたことだ。
15分という限られた時間のなかで、自ら焙煎したコーヒーを抽出し、その一杯を届けながら、自分自身の経験や、これから実現したいことを言葉する。同じテーマに向き合いながらも、語られる内容やアプローチは一人ひとり異なっていた。そこから見えてきたのは、ロースターという仕事が、豆を焙煎しておいしいコーヒーをつくるだけではないということだった。
どんな味わいをつくるのか。そして、その一杯を誰に、どのように届けていくのか。焙煎、抽出、そして言葉。さまざまな角度からロースターの姿を問う〈1CCC〉は、単なる技術競技ではなく、これからのコーヒーを担う若手ロースターたちが、自分自身の未来を考える場でもあるのだろう。

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