語り手: オーナー/川口 千秋
ジャズミュージシャンとして活動していた川口千秋さんは、イタリアのバール文化に魅了され、それを日本で形にするべく1996年に店を開いた。当時、仙台郊外の住宅地で自家焙煎した豆を使い、本格的なエスプレッソを提供することは画期的だった。「日本で誰もやっていないことをやりたい」という挑戦心が、店のコンセプトの出発点だった。浅煎りから中浅煎りの豆を中心に取り揃え、アフリカの風景を感じさせるような土地の味わいを重視。フレーバーを損なわないよう、1ハゼからの時間管理を徹底している。
店内の象徴ともいえるのが、希少なバキュームプレスのドリップマシン「クローバー」だ。このマシンはプレスとサイフォンの特徴を引き出し、華やかな香りが際立つ豆との相性が抜群。川口さんの焙煎哲学と抽出技術が融合した一杯は、イタリアのバール文化と日本のコーヒー愛好家をつなぐ特別な体験を生み出している。
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