語り手: オーナー/田中 裕之
コーヒーの向こう側にいる、生産者の姿を感じて
田中裕之さんは、毎年ニカラグアやエルサルバドルの農園を訪れ、生産者と直接向き合いながら高品質なコーヒー豆を仕入れている。「生産者の人となりを理解した上で焙煎をしているので、豆と生産者の個性を生かしたいという思いがあります」と語る。例えば、ニカラグアのラ・ベンディション農園から仕入れた豆には、生産者ルイスさんの好みや哲学が色濃く反映されるように、エレガントで上品な酸味が引き立つ焙煎を施している。その仕上がりは、飲む人に生産地の風景や生産者の姿を想起させるようなものだ。
その焙煎に使用されているのは、スイス製のBühler。熱風焙煎を採用し、コーヒー豆が持つフレーバーをクリアに再現している。「熱風の温度とドラムの回転数を緻密に調整することで、豆のフレーバーを鮮やかに引き出すことができるんです」と田中さん。繊細な作業が、豆の個性を余すことなく引き出し、一杯一杯に異なるストーリーを宿す。焙煎からカップに注がれるまで、すべての工程には生産者への敬意と情熱が込められている。
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