Only Roaster(オンリーロースター)

焙煎の未来を先取りする革新的マシン──サンプルロースターROEST

ROEST

サンプルロースター〈ROEST〉は、北欧生まれの小型焙煎機で、精密性と自動化の高さから世界中のロースターに注目されている。豆の投入からハゼの検知、デベロップメントタイムの管理までほぼ自動で進行し、焙煎中に他の作業にも集中できる。各種センサーで詳細なデータも記録でき、少量バッチでも高い再現性を確保できる。

その性能は中規模以上のロースターやインポーター、商社が扱う大量サンプルの焙煎で力を発揮する。マニュアルでの微調整も可能で、探究心の強い焙煎士にも支持される。今回は、〈Kurasu Kyoto〉のヘッドロースター・大塚 拓也さんに話を聞き、その性能と使い勝手を伺った。

なぜKurasuはROESTに注目したのか

編集部

〈Kurasu Kyoto〉さんが「ROEST」を取り扱おうと思ったきっかけは?

ROEST

〈Kurasu〉としては、海外で注目されていて、まだ日本では正規に取り扱われていないようなプロダクトには常にアンテナを張っています。

「ROEST」もそのひとつで、ティム・ウェンデルボー(Tim Wendelboe)含めて世界中のロースタリーでサンプルロースターとして導入されていたこともそうですし、最初は展示会で担当者と話したことをきっかけに、何度かメールでやり取りをするようになりました。

大塚 拓也(おおつか たくや)。Kurasu Kyotoヘッドロースター。兵庫県出身。慶應義塾大学在学中、何気なく始めたスターバックスでのアルバイトをきっかけにコーヒーの魅力を知り、都内のカフェを巡る。その後新卒で入社した会社の都合で関西へ戻り、本業の傍ら神戸のコーヒーショップにてバリスタ/ロースターとしての修行を積む。23歳の時にKurasu Kyotoへ入社。現在、買付・焙煎業務を担当。
編集部

展示会での出会いがきっかけだったんですね。

ROEST

大きく話が動いたのは、World of Coffee Copenhagenに行ったときです。そこで「ROEST」チームと直接会って、実際に触ってみたりすることができ、そのときに、今後のロードマップを知ることで長期的なパートナーシップが築きたいかも、と感じました。

展示会では、ティム・ウェンデルボーによる「ROEST」を用いたデモも行われていたり、Nomaのコーヒー部門立ち上げパーティーにも足を運び、そこでは「ROEST」の代表トロンド・シモンセン(Trond Simonsen)とも直接話す機会がありました。

そのタイミングで、Nomaが自分たちでのソーシング・焙煎へと切り替えようとしている時期でもあリ、代表である大槻の友人であるNomaのコーヒーディレクター・キャロライン・レイン(Carolyne Lane)からは、P3000の導入を進めながら、「ROEST」の開発にも関わっているという話を聞き、改めて信頼につながりました。

編集部

現場でのリアルな声や、信頼できる人たちとのつながりが後押しになったわけですね。

ROEST

最終的には、「ROEST」を実際に購入し、ロースタリーに置いて焙煎チームが実際に使うということも、とても大切なポイントです。〈Kurasu〉としてプロダクトを紹介・販売する以上、自分たち自身が使って信頼できるものであることが前提だと考えています。P3000についても同じ考え方で進めています。

ROESTの特徴

編集部

「ROEST」はどのような焙煎機なのでしょうか?

ROEST

サンプルロースターに特化した、完全電動ロースターです。豆を投入すれば、あとは機械が自動で焙煎プロセスを進めてくれます。

本体には、豆・熱風・吸気・排気・ドラム温度を計測する5つのセンサーが搭載されています。すべての数値を常に使うわけではありませんが、細かい調整をしながら焙煎を深めたい人にとっては、データを追えるのがとても魅力的です。

ROEST
編集部

〈Kurasu〉さんではマニュアルで焙煎することもあるんですか?

ROEST

ハゼ前後は特に豆によって温度上昇の挙動が違うので、マニュアルで軽く操作してます。最後どうしても勝手に機械がやってくれるんで、必要以上のパワーでやっちゃったりするんで、基本弱めることが多いです。大量にサンプルもらった時とかは、完全にオートを使うこともあります。

強みは、オートだと次の工程に勝手に進んでくれるので、焙煎中に他の作業をしても大丈夫なところです。

操作性と仕様について

編集部

最大の焙煎容量と、実際に使う際の推奨バッチサイズを教えてください。

ROEST

メーカーとしての最大容量は200gですが、実際には100g前後がもっとも扱いやすいと思います。最低は50gほどから焙煎できます。

少量でもドラムの回転数を細かく調整できるので、プロファイル次第でしっかりコントロール可能です。

編集部

「ROEST」では、どんなソフトで操作や管理をするようになっているんでしょう?

ROEST

自社開発のソフトウェアがあって、マシンを購入したら無料で提供されます。いろんなプロファイルも付いています。ティム・ウェンデルボーやノルディックアプローチ(Nordic Approach)などをダウンロードすることもできます。

編集部

プロファイルの設定や管理はどのように行い、データはどのように活用できますか?

ROEST

大きな特徴は、ほとんどすべての設定を自由に調整できることです。 操作はパソコンから操作することができ、直感的に扱えます。プロファイルの変更も、グラフ部分をドラッグするだけで簡単です。

温度や吸気・排気など各種センサーのデータをすべてログとして記録もできて、異なるバッチの比較も可能です。グラフで温度の変化を可視化し、目標値に対して実際の挙動を確認しながら焙煎を進めることができます。

ROEST
編集部

ハゼの検知はどのように行っているのですか?

ROEST

内部に小さなマイクロフォンセンサーがついています。豆がハゼる音を感知します。ハゼたタイミングは、画面にも表示されます。ハゼた回数の推移をグラフで読み取ることも可能です。

例えば、3回目のハゼや5回目のハゼを事前に設定しておけば、次のステップのデベロップメントタイムについて自動的にそこからカウントを開始してくれます。

ROEST
編集部

同時に焙煎と冷却は可能ですか?

ROEST

できます。排気用のファンとは独立して冷却ファンがついていて、そこから熱い空気が引き出されて、90秒くらいで冷却されます。

ROEST
編集部

チャフの処理はどのような仕組みになっていますか?

ROEST

右下にチャフコレクターがあって、中には小さなサイクロンが発生してシルバースキンを分離してくれます。これにより、排出される空気の中に煙がほとんど発生しません。

掃除は楽です。基本的にはチャフを捨てるだけでOKなので、手間がかからないです。

ROEST
チャフコレクターは電源を切ってから取り出せる仕組み。

ユーザー層と他社製品との違い

編集部

どのような人に向いてますか?

ROEST

大型ロースターやインポーターのように、大量のグリーンサンプルを確実に焼く必要がある人にはとても相性がいいです。サンプルロースターとして高いクオリティを確保でき、細かい調整ができるので、失敗できない焙煎でも安定して結果を出せます。商社の方が興味を持つケースが多いのもそのためです。

一方で、小規模ロースターで少量バッチを丁寧に焼きたい人にも向いています。調整できる項目が多く、「ある設定を変えると焙煎がどう変わるか」といった検証がしやすいので、探究心の強いロースターやコーヒーオタク気質の方にも人気です。

また、焙煎時の人為的エラーを減らしたい人からの支持も強く、安定性と再現性を重視する人にとって大きな安心感があります。

編集部

AillioIkawaとの大きな違いは?

ROEST

「ROEST」は細かいコントロールができるので、プロダクションローストに近い再現性があります。サンプルロースターなのでキャパが200g、〈Kurasu〉では100gくらいのキャパでやってるので、Aillioの代わりになるかといったらならないです。

あとはメンテナンスのしやすさがあります。内部に簡単にアクセスできる設計になっていて、そのために用意しているガイドラインも充実しています。他社製品では、修理やメンテナンスの際に焙煎機を海外へ送る必要があり、その間使えないことがあります。「ROEST」なら、古い機種でも新しいセンサーを購入して接続でき、ソフトウェアをアップデートすれば継続的にアップグレードができます。長期的に使いやすく、安定した運用が可能なのが大きな特徴です。

編集部

サンプルロースターとして設計された背景には、どんな狙いがあったのでしょうか?

ROEST

はい、「ROEST」は最初からサンプルロースターとして設計されています。

北欧やヨーロッパでは、日本のように小規模ロースターが多いわけではなく、大型ロースターが主流なので。そうした環境のなかで、ティム・ウェンデルボーやノルディックアプローチの影響もあって、精度の高いサンプルロースターのニーズが自然と高まった背景があります。

導入後のアフターサポートについて

編集部

導入後のサポートはどのように行っていますか?

ROEST

「ROEST」の導入後サポートについては、代理店として安心してお使いいただける体制づくりのため、現在メーカーと細部のすり合わせを進めています。

まず、11月末に日本へ入荷し、当社で出荷前点検を実施した上で、年末ごろの販売開始を予定しています。点検項目や判断基準は、「ROEST」本社と最終確認中です。

編集部

サポート体制を整えている最中ということですね。

ROEST

アフターサポートに関しては、故障時の対応範囲やお客様側でのセルフ対応可否、当社での修理フローなどを詰めている段階です。

保証期間はメーカー規定で、エンドユーザーが「ROEST」のWebポータルへログインした日から12ヶ月と定められており、運用上の扱いは調整しています。

補修部品については、初回ロットと共に専用のスペアパーツキットが付属します。基本は〈Kurasu〉での修理対応を前提とした部材ですが、ユーザーへの直接販売についてはメーカーの承認を得ながら方針を決めていきます。保証対象の部品は「ROEST」が無償で補充する仕組みです。

修理対応は〈Kurasu〉でご購入いただいたお客様を対象に、返送いただいたうえで当社にて整備・修理を行う方針です。

修理期間中の代替機については、メーカー側へ要望を出しており、提供可否を確認中です。

まだ最終確認中の点もありますが、導入後も安心してお使いいただけるよう、メーカーと連携しながら体制の整備を進めています。

編集部

最後に、〈Kurasu Kyoto〉について教えてください。

ROEST

〈Kurasu〉は、「コーヒーを通じて人々の生活を豊かにすること」をビジョンに掲げ、京都を拠点とするスペシャルティコーヒー事業です。

〈Kurasu〉という名前は、日本語の「暮らす」に由来し、日々の生活に寄り添う体験を提案します。2013年に小さなオンラインショップからスタートし、現在では、別ブランドの2050 coffeeを含め京都に3店舗、海外に11店舗を展開。オンラインショップ、自社焙煎所を通じて世界中に高品質なスペシャルティコーヒーと日本のコーヒー器具を届けています。

ROEST
一台一台のマシンにノルウェーの街の名前がついている
Photos & Interview & Text & Editor: 疋田 正志
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