2013年、空き家を活用した芸術祭をきっかけに、ガソリンスタンド跡地で営業を始めた奈良の〈K COFFEE〉。その独特なロケーションを気に入り、DIYでそのまま店舗としてオープンさせた。朽ちた外観も味わいのひとつで、「ペンキ塗り直さへんの？」と聞かれることもあるが、「これもまたいいでしょ」と店主の森和也さんは笑う。

転機となったのは、毎月課題の豆を持ち寄り、評価し合う焙煎の勉強会への参加だった。「この1日はコーヒーの話だけで終わる。それが楽しくて、みんなにも負けてられへんと思った」と振り返る。目標はファイナリスト。「奈良は2連覇してるし、次は『K』しかない。日本一は荷が重いけど(笑)」と意気込みを見せる。当初は「自分が美味しいと思うもの」を追求していただけだったが、今では日常的に飲みたくなる「穏やかな酸味と甘さが引き立つ優しい味わい」を目指し、オリジナルの味を磨き続けている。