Only Roaster(オンリーロースター)

プロのための焙煎機を、すべてのコーヒー好きへ──Kaleido Sniper Coffee Roaster

Kaleido Sniper Coffee Roaster

中国・武漢で生まれた焙煎機ブランドKaleido Sniper Coffee Roasterは、プロの世界と一般のコーヒー好きとのあいだにある距離を縮めようとしている。プロの現場に耐えうる性能を備えながら、一般層にもひらかれた設計、価格、操作性。その背景には、焙煎機を「売る」こと以上に、焙煎そのものを文化として広げたいという思想がある。

今回、そのKaleidoを日本で展開する立場から、日本代理店代表の長谷川 萱さんに話を聞いた。プロのための焙煎機を、すべてのコーヒー好きへ。その想いが、どのように形になっているのかを紐解いていく。

中国製品のイメージを変える、Kaleidoとの出会い

編集部

Kaleidoの代理店になった経緯は?

Kaleido

Kaleidoは中国のブランドで、拠点は武漢です。ちょうど会社を立ち上げた時期がコロナ禍と重なり、かなり大変な状況でした。工場では毎日外にも出られず、当時は武漢という場所自体にとても悪いイメージがついてしまっていた。ニュースでは噂も多く、コロナの発生源のように語られることもありました。

中国製品に対しても、昔から100円ショップのように安くて、あまり使えず、品質が良くない、というイメージを持たれがちでした。

編集部

当時は、中国というだけで敬遠される空気もありましたよね。

Kaleido

でも、今の中国製品はまったく違います。ハイテクな印象がありながら、コストパフォーマンスにも優れている商品が多い。開発力も非常に高く、みんながすごいスピードでものづくりをしている。

だからこそ、そうした現状について、もっと新しい情報を発信していかなければいけないと思いました。「中国製品=品質が悪い」という固定観念ではなく、その偏見を壊していくことが大事だと感じ、このブランドの代理店になりたいと思ったんです。

長谷川 萱(はせがわ かや)。カレイドスナイパージャパン代表。大学卒業後、日本大手のIT企業で営業を担当。 その後Blue bottle coffeeでバリスタ修行。中国にルーツを持つことから中国雲南コーヒー農園を訪問し、農家の熱意を触れたことをきっかけに、東京を拠点でポップアップイベントを展開。2025年9月、ショールームを兼ねたAzure Coffeeをオープン。
編集部

中国製品に向けられていたイメージと、実際のものづくりとのギャップを感じていたわけですね。

Kaleido

そうですね。あと、Kaleidoの開発者のストーリーも素敵で、もともと工業デザイナー出身で、武漢で自身のカフェを営んでいました。同じコーヒー好きとして、現場に立つ中で「理想の焙煎機に出会えない」と感じて、自ら開発を始めたんです。

スタートは個人事業レベルで、パーツを各所に委託しながら組み上げて、家庭規模の環境で試行錯誤を重ねました。そうして約15年も時間をかけて解析と改良を続け、ようやく完成したのがKaleidoの焙煎機です。

完成のタイミングはコロナ禍と重なって、武漢や中国製品への偏見が強い時期でしたが、その背景には長い時間をかけて積み上げられた、真摯なものづくりの歴史があります。

初心者もプロも楽しめる設計

編集部

他の焙煎機と比べたとき、Kaleidoならではの特徴は何でしょうか?

Kaleido

海外ブランドですけど、日本の電圧環境に対応しています。

あとは、これから主流になっていくとされる電熱方式を採用しつつ、半熱風を組み合わせて、さらに熱風を循環させる独自のシステムを搭載しているのも大きな特徴です。

操作性に関しては、プロとコーヒー好きの間にあるハードルをなくすことを意識して設計されており、経験を問わず、誰でも直感的に扱える焙煎機となっています。

Kaleido Sniper Coffee Roaster
人気のM2Sは、焙煎容量が50〜400gで本体重量12.5kg
編集部

プロとコーヒー好きの間のハードルを下げる設計、そこは大きいですよね。

Kaleido

焙煎機は「高価でハードルが高く、簡単には触れないもの」、焙煎は「長い経験がないとできないもの」と考えられがちです。

しかしKaleidoが伝えているのは、「焙煎は、特別な人だけのものではない」というメッセージです。

日本ではすでに、自宅でドリップコーヒーを楽しむ文化が広く根づいています。その延長線上として、これからは焙煎そのものを楽しむ時代が来る。Kaleidoは、そうした未来を見据えています。

家庭用としてはもちろん、個人経営のカフェや小規模店舗にとっても導入しやすい価格帯と性能を備え、50万円以下で導入できる1.2kgクラスの焙煎機として、業務用途にも十分対応できる存在です。

自動焙煎も手動も、安心のサポート付き

編集部

オートとマニュアル、どちらも使えますか?

Kaleido

自動焙煎の機能も搭載されています。あらかじめ保存されているプロファイルをインポートし、その通りに投入すれば、自動で焙煎を進めてくれます。焙煎は毎回、気温や湿度などの環境条件が微妙に変わるため、プロファイル通りにいかない場合には手動で細かく調整することも可能です。

Kaleidoが大切にしているのは、オートで「任せる」ことではなく、手動で試行錯誤し、その経験を次につなげていくこと。

自分で操作しながら仕上げることで再現性が高まり、調整した内容はすべてプロファイルとして保存され、次の焙煎に確実に活かされていきます。

編集部

Kaleidoには専用タブレットもあるんですよね?

Kaleido

初心者でも簡単に操作できるために開発しました。焙煎操作、焙煎曲線の表示、焙煎記録、プロファイル保存の機能があり、さらに気になるプロファイルをインポートして再現することもできます。

タブレットにSDカードを内蔵しており、データをPCに移すこともできます。現在はメーカーよりスマホで操作可能なアプリを開発中です。

Kaleido Sniper Coffee Roaster
Kaleido専用タブレット「Smart」
編集部

プロの方が導入される場合はサンプルロースターとしてが多いですんですか?

Kaleido

現状、店舗でサンプルロースターとして使われているケースはまだ多くありませんが、今後はこうした焙煎機がサンプルロースに適した存在になっていくと感じています。

Kaleidoは50〜200gのサンプルローストが可能で、約20万円から導入できる、業務用途としても現実的なサンプルロースターです。一般的にサンプルロースターは100万円前後になることが多い中、この価格帯と性能のバランスは大きな特徴だと言えます。

実際、コーヒー好きの方を中心にM1SやM2Sが選ばれており、さらに上位モデルの1.2kg対応M10は、店舗導入として採用されるケースも増えています。

Kaleido Sniper Coffee Roaster
焙煎容量が50〜200gで本体重量9kgと、最小サイズのM1S
編集部

サポート体制はどのようになっていますか?

Kaleido

海外ブランドの場合、本体を工場へ送り返す必要があり、輸送中の破損や精密部品へのダメージが課題になることがあります。Kaleidoではそうしたリスクを減らすため、各部をモジュール化した設計を採用しています。

パーツ交換が必要な場合でも、本体を丸ごと送る必要はなく、必要な部品だけを簡単に交換できる仕組みです。サポートはまずオンラインで対応し、操作設定の調整で解決できるケースも多くあります。

交換が必要な場合には部品を送付し、手順を動画で共有することで、ユーザー自身が無理なく対応できるようになっています。自分でメンテナンスできる設計も、Kaleidoの大きな特徴です。

編集部

焙煎機を購入する際、多くの方はサポート体制を気にされると思うんですよね。

Kaleido

そうですね。故障より多いのは「操作方法がわからない」「レシピを知りたい」といった相談です。代理店が窓口となり、迅速にサポートできる体制を整えています。

遊び心と機能性が融合したデザイン

編集部

デザイン面でも、他にはない特徴的な形状をしてます。

Kaleido

見た目の面でも、使って楽しい焙煎機です。

トランスフォーマーを思わせるようなデザインは好みが分かれそうでいて、実は好きな人がとても多く、「新しい」「今までにない」と感じてもらえるポイントになっています。

Kaleido Sniper Coffee Roaster
編集部

見た目だけではなく機能も考えられているんですね。

Kaleido

はい。一定の温度まで冷ましてから電源を切るのが基本で、目安は約50度。そのタイミングで本体の形状を切り替える構造になっており、いわば変形する焙煎機なんです。

単なる見た目のインパクトではなく、焙煎機としての機能や構造を考えたうえでデザインされている点も、Kaleidoらしさだと思います。

焙煎を楽しむ、つながる場所

編集部

なぜ〈Azure Coffee〉とKaleidoのショールームを一緒にしたんですか?

Kaleido

代理店としては、やはり実際の店舗があることが大事だと考えています。完全なショールームではなく、〈Azure Coffee〉としてコーヒー好きな人が集まって、飲みながら体験できる場所となっています。

この焙煎機で焙煎したコーヒーを、実際に飲めるカフェはまだ多くありません。 だからこそ、ただ機械を見るだけではなく、「この焙煎機で焼いたコーヒーを味わえる」という体験ができる場をつくりたいと思いました。

また、カフェを拠点に、ユーザー同士がつながるコミュニティとしての役割も大切にしています。 昨年で2回目を迎えた焙煎大会の開催など、毎年継続的に取り組みながら、コーヒー好きな人たちが交流できる場を育てていきたい。

編集部

焙煎を始めたい一般ユーザーにも伝わりそうですね。

Kaleido

そうですね。焙煎機を売る場所というより、コーヒーを通じて人が集い、つながっていく。そんな場でありたいと思っています。

〈Azure Coffee〉では、焙煎体験会も行っております。

Kaleido Sniper Coffee Roaster
わずか2〜3分で冷却でき、冷却しながら次の焙煎を進めることも可能
Photos & Interview & Text & Editor: 疋田 正志
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