低価格・高品質を武器に日本の焙煎機市場に参入──トルコからの刺客BESCA

焙煎機を安く入手したいけれど、個人輸入には不安がある。そんな悩みを解消してくれるのが、蒲原さんの存在だ。彼はBESCAのコーヒーに対する深い愛情を持ち、その思いに共感した日本の購入希望者との架け橋となっている。
蒲原さんは、BESCAの良さを多くのコーヒー愛好者に伝えるだけでなく、実際に購入から使用までのサポートを提供する。これにより、購入後の不安も解消され、安心して使える環境が整う。
さらに、実際にBESCAを業務で使いこなしているK&B COFFEE店主の外川修さんもその信頼性を証言している。彼を交えて、BESCAの使い心地や、焙煎機の選び方について深く話を聞いた。
BESCAとの出会いと魅力
蒲原さんがBESCAのサポートをされるようになったきっかけはなんですか?

もともとはトルコ製のToperの焙煎機を使っていました。趣味で見つけて、Toperに日本に送ってくれないかとメールをして購入しました。Toperもなんとか日本で紹介したい、という強い熱意で安く売ってくれたんだと思います。
Toperの焙煎機の見学にいらしたインディゴローストワークスのオーナー高橋さんが「BESCAと言うロースターはどうですか?」と紹介してくれて「これはイイ!」と2人で購入を決めました。
BESCAに「今まで使っていたToperはもう少し安かった。BESCAも少し値引き出来ないか?」と言ったら「うちはPROBATやGIESENの位置にいる。Toperと一緒にするな!」と怒られました(笑)

外川さんはBESCAで焙煎されてますが、この焙煎機を知ったきっかけはなんですか?

ネットオークションです。そこでBESCAが出品されててはじめて知りました。

宣伝兼ねて出品していました。今は3Kg釜を使っているのですが、もともとは2Kg釜を使っていました。その2Kg釜がラインナップから抜けてしまったので、見学者が来ることやSCAJでの展示機として使う事を考え、ラインナップにある製品に買い替える必要があり、2kg釜をネットオークションに出品しました。
ネットオークションですか。

その時期はコロナというのもあって、景気は悪かったけど中古市場は賑わってたんです。その時のBESCAの立ち姿がすごくよくて、それで蒲原さんに連絡をしてみました。それでショールーム(要予約)に来て、持参した生豆でテスト焙煎をしました。一回使えば大体わかるから。

それで購入されたのですね。

PROBATやDEADRICHも使ったことがあったので、比較はしやすかった。そこに値段が「アレ⁉︎」っていう。価格、機能、性能。身の丈に合った焙煎機との出会いに帰り道は鼻息荒く(笑)
見栄張ってどうのこうのっていう商売もしてないから、美味しいものが提供できればいいし。
でも蒲原さんがトルコ製の焙煎機に目をつけられたのはなぜですか?

トルコは工業製品が強く、値段と性能を見るとすごくコスパがいいんです。
サポート体制と購入の流れ
そこからなぜBESCAをサポートされるまでになったのですか?

BESCAの製品に取り組む姿勢が素晴らしいので「ぜひ日本でも広げたいので力になる」と話をし、リーズナブルな価格で提供できる様に話をつけました。
海外のメーカーさんは、連絡してもすぐに返事が来なかったり無視されるというのが結構ありますが、BESCAはすぐに返事が来ますし、担当者の熱意をすごく感じました。

蒲原さんはサポートという立場で、代理店とはまた違うんですよね。

はい、代理店ではなく、中間に入って購入される方のアドバイザー、お手伝い的な役割です。
代理店にしてしまうと、どうしても私の方の責任が出てしまうし、値段も上乗せして売らなければいけなくなるので。
焙煎機を売ることによる利益は求めていません。そこが本業ではない強みでしょうか(笑) 購入希望者さんは他社よりも確実に安く手に入れられるかわりに、個人輸入する苦労も楽しんで頂けたらと思います。
では、購入したい場合の流れはどのようになるのですか?

まず私に連絡いただいた後に、ボディカラーや都市ガスorプロパンガスか、などの細かな打ち合わせをします。その後、BESCAからインヴォイス(見積もり・請求書)が発行されます。
購入者さん自身がしていただくのは、銀行からBESCAへの送金。1か月ほどで製品が完成して出荷します。出荷から1カ月半~2カ月ほどで指定の港へ到着しますので、自分で引き取りに行くか、通関代理業社さんなどを利用して全部任せる事も可能です。最初は通関などはどうしてもわからないと思いますので、ある程度はこうすると通りやすいとかのアドバイスはもちろんさせていただきます。
ご予算があれば、ネット通販の様に自宅まで届けてもらう事も出来ますし、なるべく自分でやればかなりの節約も可能です。
今までの購入者は問題なく購入されてるようですね。

今まで買われた方々は、皆さんスムーズに手に入れることはできてます。

焙煎機としての性能と使い勝手
外川さんは実際に焙煎業務で使われてますが、いかがですか?

以前は火力に対して排気が強く、バランスを取るのに苦労していたんですが、BESCAは火力と排気のバランスがとりやすくて操作が楽しいんです。
知人にレーシングカーに詳しい方がいらして、「レースカーはマフラーの温度をリアルタイムで測定してエンジンの燃焼効率を確認しているんだよ」って教えて頂く機会があり、BESCAには排気温度のセンサーもあるので、ニュークロップやプロファイルを追い込む時はレーサー気分で焙煎してます。ポールポジションは中々取れないですけど(笑)
なるほど(笑)
外川さんが普段焙煎されるのはどのようなコーヒーが多いのですか?

焙煎度合いで言えば中間。焙煎の味を極端につけるでもなく、逆に極端に火が入ってなくて、カロリー不足で本来の豆の味を出せてないというのも避けたい。それがBESCAではやりやすい。立ち上がりがクイックだし、排気も強い。
あと、ドラムの回転も変えられるから、例えばナチュラルでチャフが多いなという時は、早めの回転にしてあげるとかができるのもいい。
特徴と他社比較
BESCAの特徴は?

焙煎機に欲しい機能が全て揃ってるというのが特徴です。ダブルウォールドラムと分厚いフロントパネルによる蓄熱性、プレミックスバーナー(赤外線バーナー)搭載。強力な排気や火力は調整可能で、温度センサーも豆温度と排気温度の両方で測定可能になっています。PCコネクタも標準装備で、artisanやcropsterも使えます。逆に余計なものがなありません。


釜の内圧計や温度計の追加などのカスタムは、既存のユーザーで情報を共有できるし、蒲原さんのブログを参考にして自分で簡単にできるのもいい。
改造やメンテナンスの情報は共有するけど、運転するのは自分自身っていう、車やバイクの愛好会に近いノリがあって、ユーザーはそれぞれが個性的で、そこがまた楽しいかな。

サイクロンの位置も環境に合わせて左右選んで製作可能です。チャフの取り出し口も、後ろについていたものを日本の狭い環境に合わせて前にして欲しいと話したら、しっかりと聞いてもらえ変えてくれました。
柔軟ですね。

操作方式はオートとマニュアルが選べるのがいい。最近の焙煎機はマニュアル機の選択肢が減っていく中で、マニュアル操作のコントロールボードが選べるのはよかったポイント。
物理操作に馴染みがあるし、仮にスイッチとか壊れたとしても自分でなんとかできるから。
BESCAの機種は、どれでも取り寄せることが可能なのですか?

可能です。サイズは500g、1kg、3kg、6kg、10kg。カラーも自由にカスタマイズできます。他社は重厚な感じのものが多いので、目を惹きます。

BESCAの未来と展望
蒲原さんの、これからの展望を教えてください。

BESCAユーザーが増えてくれたら嬉しいですね。ユーザーが増えれば色々な情報も出てきてメーカーにも要望を伝えやすくなるので、日本でもBESCAを広めていたいと思います。
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