語り手: 店主/横井 力
札幌の中心エリアから少し離れた住宅街の一角に佇む横井珈琲。1996年の創業以来、札幌にスペシャルティコーヒーを根付かせた先駆けとして支持を得てきた。「1999年にスペシャルティーコーヒーが日本に入ってきました。生産者が高品質のコーヒー豆を生産し、それに対して正当な対価を支払うことで生産者の自立を促す、いわば社会貢献からスタートしたプロジェクトに、自分もそこに少なからず参加できるならスペシャルティコーヒーはさらにやりがいがあるなと思いました」と振り返る。コーヒーは、カッピングで感じた品質に合わせた焙煎を忠実に再現できる、イタリア製の完全熱風式OPMで焙煎。「今は生産されてない焙煎機ですが、熱風式なので焙煎由来のビター感が抑えられて、甘みを感じやすいです。データだけでなく、音や香りなどの『豆の声』を聴くよう心がけています」。10種類を揃えるブレンドに力を注ぐのは「ブレンドはその店の顔、作品なんです。それぞれのシングルオリジンの特徴を踏まえて作っています。より多くの人にコーヒーの愉しさや豊かさを伝える身近なツールでもあります。ブレンドは生活の中に溶け込むものですから」。ブレンド以外にもシングルオリジンも浅煎りから深煎りまで取り揃え、素材の個性を生かした、毎日飲み続けられるコーヒーを提供している。
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