語り手: オーナー/石山 俊太郎、チーフロースター/佐藤 恒大
町工場エリアで広がる、日常に寄り添うコーヒー
「東京の片隅で、静かに革命を起こしている」。そんな一杯に出会えるのが、雑色の〈BUCKLE COFFEE〉だ。コーヒーの生産地支援に携わるNGOの青年海外協力隊として東ティモールで活動した石山俊太郎さんと、開業まで試行錯誤を重ねた焙煎担当の佐藤恒大さん。学生時代からの同級生である2人は、「新しいコーヒー文化を作る」という壮大なミッションを掲げ、この地に店を構えた。周囲は町工場が並ぶエリア。訪れるのは近隣住民が多く、「地域の生活の一部になるためには、どうしたら伝わるかが重要です」と石山さんは言う。スペシャルティコーヒーの魅力を広く届けるため、時には“ハードルを下げる”ことも意識。試飲を通じて味わいの違いを伝え、4つのカテゴリーに分類することで、初心者でも気軽に選べる仕組みを整えた。
焙煎は豆の個性を最大限に引き出すことに徹し、テスト焙煎を繰り返しながら微調整を重ねる。羽田空港にも近い立地ゆえ、訪れる外国人旅行者も多い。「日本で最初に飲む一杯が、東京のコーヒーの代表となるような味を提供できたらいいですね」と佐藤さん。スペシャルティコーヒーの概念を塗り替え、日常へと溶け込ませる。そんな新たな価値観を発信し続けている。
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