朝の街が目を覚ます前、ひと足早く扉を開ける。吉岡順平さんが営む〈ecoma coffee〉では、ただのコーヒータイムが、日常を彩る特別な瞬間に変わる。ポートランドの朝型ライフスタイルに感銘を受け、7時から営業をスタート、ビジネスパーソンたちの出勤前に寄り添う場所として、静かに愛され続けている。「アメリカでは、朝早くからオープンしている店が多かったので、それを参考にして始めました」。ポートランドで学んだコーヒー文化と独学で身につけた焙煎技術が、ここには息づいている。

ハウスブレンドの「キャットストリートブレンド」は、中煎りの豆がフィルターコーヒーにもラテにも合うように設計された。「ポートランドで飲んだラテの記憶を再現しました。エスプレッソとミルクが合わさったときのフルーティーさと甘さを意識しています」。店のシンボルとなっている猫のラベルは、地元の絵本作家によるもの。運がよければ、店舗向かいに住むモデルになった猫が窓越しに顔を見せてくれることも。そんな愛らしい瞬間が、訪れる人々にとってひとしずくの幸せを届けてくれる。