ゲーム業界からバリスタを目指し、ニュージーランドに渡航した小柳貴人さん。現地で焙煎やトレーナーとして経験を積み、2016年にはCup Tasters Championship 2016ニュージーランド大会で優勝を果たすなど、確かな実績を持つ。8年間の滞在を経て2020年に帰国し、実家の一角を改装して焙煎所をオープン。小柳さんが目指すのは、酸を残しながら甘みを最大限に引き出す中浅煎りの焙煎だ。「スペシャルティコーヒーが浸透していないこの地域で受け入れられるか心配でしたが、自分の焙煎を信じて地道に広めた結果、酸味のあるコーヒーを好きになってくれる方が増えました」と語る。

焙煎所では、購入前に試飲ができる仕組みを取り入れ、好みに合った豆を選べる体験を提供。「未知のコーヒーとの出会いを楽しんでもらうために大切なこと」と、小柳さんの心配りが感じられる。また、水曜と日曜には、池袋の老舗旅館を改装したカフェKimi Natural 73+ Cafeに立ち、コーヒーを直接提供。地域に根ざしながらも、幅広い層にスペシャルティコーヒーの魅力を伝え続けている。