Only Roaster(オンリーロースター)

コーヒーショップから考える未来──ONIBUS COFFEE 坂尾篤史×LIGHT UP COFFEE 川野優馬

2023.11.07

今回は、繰り返し使えるリユーザブルカップのシェアリングサービスCUPLESが、不定期に開催するトークショー型インスタライブ「SUSTAINABREW」から。

第3回の今回は初めてオフライン開催ということで、CUPLESの鳥居大樹さんを聞き手として、ONIBUS COFFEE代表の坂尾篤史さんと、LIGHT UP COFFEE代表の川野優馬さんをゲストに招き、生産国に赴き、消費者に価値をつなぐ両ショップの代表による「コーヒーショップから考える未来」についてのトークショーから一部を抜粋。

CUPLESコーヒーの使い捨てカップは、ほとんどがリサイクルされずに廃棄処分されており、その数は年間39億個以上ともいわれている。CUPLESは、繰り返し使えるリユーザブルカップで、コーヒーをテイクアウトする新しいライフスタイルを提案している。あなたの毎日の1杯を、地球のための1歩に変えるサービス。
鳥居大樹

早速ですが、今は何店舗も運営されているONIBUS COFFEEですが、坂尾さんがコーヒーの仕事をするようになったきっかけは?

坂尾篤史

きっかけは、2006年にオーストラリアに行ったことです。おしゃれなカフェがたくさんあって、バリスタがかっこよくコーヒーを淹れて、地域のコミュニティになってる状況を見て、衝撃を受けました。

その後、バックパッカーでいろんな国へ行って帰国後、コーヒーショップで働きだし、2012年に奥沢でONIBUS COFFEEをスタートしました。今は都内を中心に国内7店舗とホーチミン、バンコク、台北に3店舗、トータルで10店舗を運営しております。

坂尾 篤史
坂尾 篤史 (さかお あつし)。ONIBUS COFFEE代表。会社員を経て、約一年のバックパックを経て帰国後、バリスタ世界チャンピオンの店でコーヒーの修業。焙煎やバリスタトレーニングの経験を積み、2012年奥沢にONIBUS COFFEEをスタート。トレーニングやワークショップなど行いながらコーヒー農園にも積極的に訪れ、2014年5月に渋谷、道玄坂にABOUT LIFE COFFEE BREWERSをオープン、国内に7店舗を経営。2023年4月にONIBUS COFFEEブランドとしては初となる海外店舗を、タイと台湾にオープン。
鳥居大樹

お店のコンセプトはありますか?

坂尾篤史

スペシャルティコーヒーにおいては、トレーサビリティやサステナビリティが切っても切れない言葉としてあるので、ONIBUS COFFEEとしては、どこまでそれを追求できるのか、という姿勢を持ってショップ運営を行っております。

店舗を作るにも工夫をしていて、自由が丘店では間伐材を使用しています。間伐材ってどのように切り出すのかわからなかったので、サステナブルな山の姿を復活させようという考えを持った林業をしている知人のところに設計者と山に3日間くらい入りました。冬の新月の日に間伐をして、チェンソーの使い方から、木を倒す方向の見方とかいろんなことを教わりながら間伐してきた材料を使っていたりとか。

鳥居大樹

なるほど。

坂尾篤史

自由が丘店は「循環」をコンセプトにしているので、テラスの裏側にコンポストを置いていて、出た廃棄物をコンポスティングしています。東久留米の奈良山園という農家さんに回収していただいて、堆肥として使っていただく。またそこで育てた野菜は、自由が丘店で提供するみたいな循環の取り組みを行ったりします。

僕たちが「コーヒーで、街と暮らしを豊かにする」ことをビジョンとして掲げてます。地域にコーヒーがあることで、地域の人たちとコミュニティを一緒に築いて、そこに住んでいる人達、僕らのある町が豊かになれるようなコーヒーショップ作りを目指しています。

鳥居大樹

それでは、LIGHT UP COFFEEの川野さんも簡単な自己紹介をお願いします。

川野優馬

お店をやりながら、ベトナムのダラットというエリアでコーヒー生産を農家さんと一緒にやっています。

「美味しいコーヒーで、毎日を明るく照らす」をテーマに、たまに美味しいコーヒーを休日に飲みに行くのもいいですけど、美味しいからこそ毎日飲み続けてほしいと思いますし、朝に一杯美味しいコーヒーがあるだけで1日がちょっと鮮やかに豊かに感じる、ていうそんな1日の積み重ねをお届けたいと思っていますので、シングルオリジンコーヒーショップなんですけど、また明日も飲みたいと思えるような味わいだったり、豆ごとの個性とバランスの両立っていうのを大事にしています。

2014年に始まって今は3店舗やっていて、今年三鷹に新しい焙煎所を作りました。

川野 優馬
川野 優馬 (かわの ゆうま)。LIGHT UP COFFEE代表。大学在学中にコーヒーの魅力に取り憑かれ、2012年ラテアート全国大会で優勝。その後シングルオリジンコーヒーと出会い、焙煎機を購入し家で自家焙煎をはじめ、美味しいコーヒーで世界を明るくするLIGHT UP COFFEEを吉祥寺にオープン。店舗を経営する傍ら、株式会社リクルートホールディングスに就職しUXデザイナーとして1年半勤務した後、株式会社ライトアップコーヒーを設立。経営者兼バリスタして働く。アジアのコーヒーを美味しくしようと、バリ島やベトナムでコーヒー生産も行っている。
鳥居大樹

LIGHT UP COFFEEの特徴はなにかありますか?

川野優馬

他のコーヒー屋と違うところは、セミナーとかコーヒーの体験作りを結構やっていて。コロナ前とか、多いときは年間300回コーヒーのセミナーをやっていました。

YouTubeではオンラインカッピングをしたりしてます。同じ豆を皆さんに送って画面越しにリアルタイムで同時にカッピングするみたいな事をやったら300人以上集まって、結構盛り上がって。遠隔でもお店に来てでも、コーヒーを通じて人がワクワクできるようなイベントを増やしたいな、という事を割とやってる方のコーヒー屋かなって思っています。

鳥居大樹
鳥居 大樹 (とりい ひろき)。CUPLES inc. COO。 呉服屋→広告代理店→クラフトフードブランドのPR→アパレルブランドカフェのプロデューサーを経験中にコロナ禍に突入。自分の価値観に変化が生まれ「世の中のためにカッケーことしたい」と2023年5月よりCUPLESに参画。楽しく面白くカッコよくをモットーに世の中に新しい価値を!と日々、東奔西走中。
鳥居大樹

ありがとうございます。 

お2人の出会いのきっかけは?

川野優馬

僕がまだお店を作る前、まだ大学生だった2012、13年頃に、フジローヤルの1kgを買って、家でコソコソ焙煎してた豆を、ONIBUS COFFEEに持って行って、どうですかって感想聞いてたりして。アルバイトメンバーでコーヒーの勉強をしてるグループがいて、そのメンバーでも奥沢店に押しかけて、コーヒーの美味しさに感動したりとかっていう。

当時からめちゃくちゃONIBUS COFFEEから刺激を受けてます。

鳥居大樹

2012、13年の頃は、今ほどコーヒー屋さんがなかったと思いますが、情報交換とか大変じゃなかったですか?

川野優馬

コーヒー屋同士がお店に行くしかないですよね。でも、当時はオーナーさんがお店に立っていたので、会いに行ってオーナーさんから話が聞けました。

鳥居大樹

今でも、お2人はお店には立ってますか?

川野優馬

僕はたまに、月に1、2回とかですね。

坂尾篤史

立ちたいんですが、、時間がない笑 

坂尾篤史
鳥居大樹

では、次に農園の話をしたいのですが。

生産者と言われてる方は、コーヒーの木を作ってる人なのか、その生豆を何か精製してる人なのか、どの人を生産者って言ってるのか、僕みたいな素人だとわかってなくて。生豆を買いつけに行くというのは、どういう流れなのかな?っていうのを疑問なのですが、この辺をお聞きしたいです。

坂尾篤史

中米、アフリカ、南米、アジアの国ごとでかなり違います。

鳥居大樹

生産者は、分業なんですか?ひとりが木から植えて、コーヒー豆の状態で出荷まで全部するのか。どういうシステムなんですか?

川野優馬

精製してエクスポーターと言われる輸出業者に売るまでをやるとこもあれば、超有名農園だと輸出免許を持っていて、自分らで輸出するところもあります。

一方で、アフリカだったら農家さんは裏庭栽培で、それを近くの精製所に売りに行って、精製所が買ったチェリーを精製して、それを輸出業者に売っている。分かれてるとこもあれば、全部自分でやるところもある。規模と国の文化と背景によって違います。

川野 優馬さん
鳥居大樹

なるほど!なんとなくわかってきました。

ちなみに、お2人は、農園にはいつ頃から行かれてるんですか?

坂尾篤史

僕は、2014年に始めて行きました。

鳥居大樹

そのときのお話や、最近は気候変動とよく言われてますが、コーヒー農園で何か変化が起きてたりとか、その影響があったりするのかをお聞かせください。

坂尾篤史

初めて行ったのはコスタリカとグアテマラです。その時、こんなに人の手が関わっているものなのに、僕らはその当時一杯380円とかで飲めることに対してすごく不思議に思ったのが一番印象に残ってます。

当時から変わったことでいうと、コスタリカの生産地域はどんどん北の方角に移動しています。赤道から離れていってるってことですね。

あとは、コーヒーにはいろんな品種があるんですけど、ここ数年は一般的なカツアイとかブルボンのよくある品種よりも、その畑をゲイシャに変えようみたいな、高品質でトップオブトップのスペシャルティを育てようという。

精製方法もいろいろと研究されてきて、付加価値の高い精製方法で、高く売れるような仕組み作りをしているトップ農園というのがあります。

鳥居大樹

農園も進化してきてるのですね。

川野さんはどんな感じでしたか?

川野優馬

僕が初めて農園に行ったのは2016年ですが、当時から変わったことといえば、バリでは日射が強すぎてコーヒーチェリーが日焼けしちゃって。焼けると、皮むきも発酵もできなくて、駄目になる。グレードCとかになって、ローカルで安く出すしかないコーヒーになったりとか。

あとは、乾季に収穫をするんですけど、週1週2で雨が降るとか。そうなるとチェリーが水を吸って割れちゃって、そこにハエが卵を産んで悲惨なことになったりとか。乾燥させている過程のコーヒーは全部乾燥が進まなくて、一生乾燥場を独占したままで次の収穫を持ってこれない。

これがバリだけじゃなく、ベトナムや台湾、アジアのどこでも起きているので、そういう意味では気候の変化を感じます。

坂尾篤史

雨が降るのはよく聞きますね。

鳥居大樹

それらの対策とかは何かされてるんですか?

川野優馬

アジアの農園でも、乾燥を室内とかビニールハウスでやってますね。この3年ぐらいは日焼け対策でシェードツリーといって、カバーするような背の高い木をみんな植えはじめてます。

坂尾篤史さん×川野優馬さん×鳥居大樹さん
鳥居大樹

今コーヒーって値段がどんどん上がっている印象を受けます。やはり、気候変動が直結してるんですか?

川野優馬

それだけじゃない。いっぱいあります。

鳥居大樹

そ、それを少し教えてもらえますか?

川野優馬

現地の物価も生活水準も上がってるので、現地のピッカーさんの給料も上がって。そうすると生産コストが上がる。あと為替の影響もあるし、そもそも日本まで持ってくる輸送費が原油高で上がってるってのもあります。

あとは買い付けに来る人がすごい増えてたりとか、インドネシアだと、COEカップオブエクセレンスというアジアでは初開催の品評会がここ2年で始まって、それによって元のチェリーの販売価格がめっちゃ上がっています。

僕らが精製所をはじめた2017年は1kgのセリで日本円換算で、当時70円だったんですよ。今年のコーヒーチェリーの価格は1kg190円で、約3倍近くになってます。これはCOEが始まって、そういう箔がつくとコーヒーめっちゃ売れるって気づいた、大きいお金を持って精製をしている人達や会社が、チェリーもどんどん値段上げてでも買い占めむしろ他のプレイヤーに譲らせないっていう形で、どんどんお金を払って買ってるっていう。

これはちょっと短期的かもしれないですけど、そういう理由もありつつ、現地でのコストはめちゃくちゃ上がってます。

坂尾篤史

あと世界的なインフレもありますね。

鳥居大樹

なるほど、生産国ももれなくインフレだということですね。

お店として、そういう場合は我慢しますか?

坂尾篤史

いや上げますね。近年のコーヒー業界の流れでいうと、僕たちだけではなくて大手さんもこの2年で2回ぐらい値上げしてます。やっぱり値上げせざるを得ないぐらいの価格高騰はあります。

鳥居大樹

そうですよね、続けられないですもんね。

この10年でそんな変化があったわけですが、今後どうなっていくと思いますか?2050年問題って言いますけど、コーヒーはどうなっていくのか。

坂尾篤史

僕がお店を始めたときから20%~40%は10年で上がってるので、2050年まであと25年あるので、どこまで上がるかわからない。

CUPLES
鳥居大樹

川野さんが取り組んでるという、今までの南米やアフリカと違う、アジアのコーヒー農園がダイヤの原石じゃないですけど、やはり可能性を感じてるんですか?

川野優馬

可能性はあるんですけど、これを誰がどう変えていくかは難しいです。

一つの農家さんの単位が小さくて、生産量が1ヘクタールで1000本の木で、グリーン換算で1t分ぐらいしかない農家さんがワーッている中の一つ一つに教えに行くっていうプロセスは、なかなか難しいところはあると思います。それよりは、僕はスペシャルティってどちらかというと、農園の一番のトップロットであるグレードAとかS、一番上積みを買うんですよね。

でも一番のボリュームゾーンってグレードBだったりする精製所も多いんですよ。スペシャルティを作ってるけどなんだかんだピックした未熟のチェリーが混ざったグレードBも多くできて、それは80点くらいのまあまあ美味しいぐらいにしかならないみたいな。そこもしっかり価値をつけて売ることができると生産者は助かるじゃないかとは最近思ってて。バリでも次はグレードBを買って、お店で何か出す形を考えてみようかなとは思ったりしています。

鳥居大樹

アジアの生産者自体は増えてるんですか?

川野優馬

コロナでぶっ壊れた感じはあります。

コロナになって、街一帯がみんな農家に戻ったんですよね。コロナ禍でコーヒーの買い付けの需要も増えて、いろんなプレーヤーが増えて。コロナで農家自体は増えたんですが、もちろん辞めたりしてる農家さんもいるし、儲かってる農家さんもいるしみたいな、なんかバグってしまってカオスな状況です。

鳥居大樹

コロナで様子が変わったのはなんとなく想像がつきます。

お2人は農園には今後も行き続けるのですか?

川野優馬

もちろん行きますね。

鳥居大樹

農園に行く意味は何か、それを自分達がするみたいなのは、やっぱり何か強い思いがあるんですか?

坂尾篤史

僕の場合ですけど、強い思いとか情熱があるから農園に行くとうよりも、当たり前な気持ちで農園に行きたいっていう感じなんですよね。

情熱があって、そこをどうにかしたい、それを買ってコーヒーの世界を変えたいというよりは、自分達が使ってるものをやっぱ直接見たいよねっていう、すごくシンプルなところかなと思います。

川野優馬

僕も同じなんですけど、最近スペシャルティコーヒーって何なんだろうって改めて思ってきて。スペシャルティコーヒーって生産者にとってすごくいいイメージがあるじゃないですか。そうは言ってなくても、消費者の方はこれはシングルオリジン使ってるスペシャルティコーヒー専門店で何か生産者にとっていいんだろうっていう、付加価値がそこに乗ってると思うんですよ。

だけど僕らは商社から経由して買う、会ったことない生産者の豆って、その生産者がそれを作ることでどのくらいハッピーになってるかってわからないんですよ。具体的な値段とかはわかる、現地でいくら出してるって、トレーサビリティって数字の面でわかるけど、その価格にして本当に喜んでるかとか、何が変わったのかまでは実感が持てなくて。

そこが何かある意味、元々こう詐取みたいなところから始まったコーヒー生産が、スペシャルティの流れでトレーサビリティ持って良くしようっていう。

この良くしようというイメージが独り歩きしてて、本当に良くなってるかどうかわからない、蓋をされてるようなもののイメージで、僕らは商売してて、なんかそれもそれで搾取構造だなと思ってて、なんかモヤモヤしてて、それもあって、せっかくスペシャルでやるんだったら、もっと見に行きたいってのもそうですけど。

シンプルに仲良くなりたい!コーヒーを一緒にやっている友達の豆だよ!みたいになりたいっていうのが僕は一番ですね。

川野優馬
鳥居大樹

川野さんが、以前、八百屋みたいにコーヒー豆を売りたいみたいなお話されてたと思うんですけど。スーパーに並んでる野菜も、○○さんの人参みたいな、そういうふうな表示が増えたじゃないですか。写真まで載ってるやつ!コーヒーもそうなってくるんですかね。

川野優馬

そんな感じが理想だと思うんですよね。バリスタも勝手に気持ち乗っちゃうみたいな。あそこめっちゃ景色良くてさ、あの人こんなやつで、みたいな。

会ったことない人でももうチーム全体がそんな感じになっちゃうと勝手にお客さんに細かいカップクオリティとかフレーバープロファイルを飛び越えて伝わると思ってるので。

何となく僕はそういうふうになりたいなって思ってます。

坂尾篤史

買い方やコミュニケーションの取り方とか、ずっと続く課題だと思うし、昔よりも行きやすくなっているので、生産地域の人たちと僕ら出口側の人間が、勉強会みたいなものをしていく機会を作っていかないといけない立場になってきたというのは最近感じますね。

鳥居大樹

商社とかではなくて、ロースターの方たちが農園に行くと、やっぱり喜ばれるんですか?

坂尾篤史

喜びます。ただそれも農園によりけりですね。トレーサビリティの中で、農家さんがいて、ウォシングステーションがあって、ドライミルといわれるところがあって、エクスポーターがいてインポーターがいて、僕らなので。それを壊してまで農家さんと繋がるみたいなことはするべきではないと思うので。

その中で、ドライミルとウォシングステーションと農家さんをやっている、エクスポーターの人たちがいるところをインポーターを通して買うとかいろんな買い方があるので、その買い方をして、農家さんたち、商社、エクスポーターがWin-Winになるのは、時と場合によって本当異なるんじゃないかなと思います。

なのでしっかりと考えて買う事が大事だと思います。

鳥居大樹

買い方は、直接買うだけじゃないんですね。

坂尾篤史

でもたまにいるよね。すっ飛ばして買う人。それこそ最近便利なので、インスタやってる農家さんにワンボックス送ってよ、みたいな事とかもあるので。そのワンボックス送ってっていうのは、意味があるのかどうか。

ワンボックスだけ買うことで、うちらは直接やり取りしてるよみたいなのは、ちょっと違うんじゃないかなみたいな。

川野優馬

わかります。

鳥居大樹

それを買い続けるというか、その農園の豆を使い続けるってことが大事なんですね。

坂尾篤史

使い続けるっていうことも大切だと思いますし、どういう買い方でどういうふうにコーヒーショップを広げていけば農家さんもハッピーだし僕らもハッピーなのかみたいな事を考えなきゃいけないところですね。

農家さんは、ビジネスをしているので。コーヒーショップの方って、都会の中で自分の生き方の一つの表現としてやられてる人が多いと思うので、僕もそうだったし。

ただ買う量とか、買い方を考えた時に、どういう規模でどういうふうに成長させていくのが果たしてみんながWin-Winになるのか、みたいなのはコーヒーショップの人は考えて、できれば共有していくのが今必要なのかなとは思いますね。

鳥居大樹
鳥居大樹

なるほど。三方よしを目指してどうアクションしていくかみたいなことが大事ということがわかりました。農園に行く事はそれをするためには当たり前に必要な事ですもんね。

なにか他にもアクションされてることや、気候変動に対してこんな取り組みをしてるとか、そのようなお話がありましたらお願いします。

川野優馬

僕は直接的に環境負荷を減らすような動きは少ないんですけど、生産者の持続性というところを考えると、売り続けないといけないし、規模を伴わないと、生産者にどれだけ僕らがインパクトを与えられてるかということが弱くなっちゃうんで、規模とか流通量ってのもすごい大事だと思っていて。

なので、飲み続けたくなるようなコーヒーの仕入れ方とか味わい作りとか。あとは僕らはオンラインでサブスクをメインにやっているので、ずっと買ってもらえる。それがあるおかげで僕らはお気に入りの好きな生産者から豆を買い続けられて、それによって長い目で彼らに意味のあることができるんで、その辺でパッて飲んで、うわすごい!ってなって、1ヶ月後また来ればいいか、にならないためにはどういうサービスや味がいいのかっていうのを考えながらやってる方なのかなと思います。

鳥居大樹

それで失敗したみたいこともあるんですか?これ全然ハマなかったなみたいなこととか。

川野優馬

サブスクだと、一時期D2Cみたいな文脈で、パーソナライズ、好みにに合わせてみたいなのがあったんですけど。例えばコーヒーだとフルーティーな感じとバランス良い感じと好み分かれるかなと。僕らも最初その路線だったんですけど、あまり受け良くなくて、僕自身はナチュラルも美味しいし、ウォッシュドも美味しいし、いろんな味があるのがスペシャルティコーヒー、シングルオリジンのいいとこだと思ってたので、いろんな味に会えること自体がいいかな、特定のフレーバーだけ届けるのってあんまり僕らが世界中の産地をあれこれ扱ってる意味が薄れちゃうなって思ったんで、やりがい的にも、僕らが面白いと思ったフレーバーの豆をランダムで毎月、とにかく違う豆を送るよみたいな。

毎月3種類仕入れるっていうことを決めて。仕入れがめっちゃ大変なんですけど、毎月3つのシングルを、LIGHT UP COFFEEらしい味わいで仕入れるっていうふうに切り替えたら、めちゃくちゃ続けてくれる月数が増えました。

飽きちゃうんすよね。コーヒーって同じ味に飽きちゃう、いろんな味がある方がいいなっていうのは感じます。

坂尾篤史

離脱ってどれくらいが、多い期間なんですか?

川野優馬

2、3ヶ月とかが多いんじゃないですか。それ超えていくと、結構1年ぐらい続いてくれると思います。

鳥居大樹

ありがとうございます。

ONIBUS COFFEEはCUPLESもそうですが、元々サステナビリティや、環境負荷軽減などを大事にしてきた印象を受けてるんですけど、何かきっかけがあったんですか?自分たちがやらねば、みたいな。

坂尾篤史

やらなきゃいけない、というのはないんですけど、きっかけとしてはバックパッカーのときの経験ってのが大きくて。

オーストラリアでカフェで働く人たちを見てかっこいいな、こういう仕事もありかなと思った後に、東南アジアとインドとネパール、あとバングラデシュとチベットを1年ぐらいかけてバックパッカーをしてたんですけど。その当時のカンボジアは、内戦の影響で親のいない子供たちがいるので、寺子屋みたいなところで1日ボランティアして。

あとバックパッカーをしてると、ストリートチルドレンの子達くらいしか遊んでくれる人がいないので、そういう子たちと仲良くなってご飯を食べたりして、2週間ぐらい他の地域を回って帰ってきたら、仲間が1人いなくなってるとか。そういうのを目にしたり、ヒマラヤの氷河がどんどん後退しているとか、バックパッカーのときの経験というのがバックボーンあって。

鳥居大樹

なるほど。すごい体験ですね。

坂尾篤史
坂尾篤史

震災のとき東京で働いていたので、そのときの経験だったり。その後ボランティアで石巻での被災した人たちとの会話だったりとか。

そういう経験の中で初めて農園に行ったときに、自分がコーヒーの仕事をするのであれば、お互い環境負荷をかけないような運営方法ができたら、コーヒーショップを運営していく価値ってあるんじゃないかなって思ったのがきっかけです。

鳥居大樹

ありがとうございます。

今日の話で印象を受けたのは、環境問題だけを考えるのではなくて、しっかり売り上げを作ってビジネスをすることも重要だし、それが農園さんからしっかり生豆を買うことにも繋がってると思うので、どこかで無理しちゃうと持続可能でなくなってしまうということで。

LIGHT UP COFFEEとONIBUS COFFEEみたいに、三方よしを考えて行動しているカッコいいお店が、どうしたら波紋のように広がってくのか。孤軍奮闘されてる方たちがいろんなところで戦ってるなって印象がちょっとあって、みんなが手を取り合って頑張ったらいいのになと思うんすけど。

坂尾篤史

そういうのも必要になってきたかなみたいな感じはします。そういう事をしないと、次の日本のコーヒーシーンが成長しないんじゃないかなとは思います。

川野優馬

当時の僕がコーヒー面白くなったときのONIBUS COFFEEさんとかフグレンさんがオープンした頃って、他のコーヒー屋は全然なくて、みんな1店舗しかない。 

そしてある程度コーヒー屋ができてきて複数店舗運営することができて、ある程度会社としてちょっと成長してきたかな、次どうしようってなったときに、東京に増やすって、もうちょっと飽和してきているよね。だから、もっと日本でコーヒーを飲む人をそもそも増やさないとねみたいなのが出てきているはずで、その中でみんなで孤軍奮闘しないで一緒にやっていかないと壁打ちになるよね。ってのはみんな感づいてますね。

坂尾篤史

なんかそれは肌感であるよね、きっと。他の業界とかどうなのかなとは思うけど。

個人で始めているコーヒーショップの人たちは、他のコーヒーショップの人たちはどうやって豆買ってんのかなとか、どうやってスタッフを管理してるのかなみたいなのがすごい気になり始めているし、会うとそういう話になる。

鳥居大樹

なるほど。情報の共有だったり、実際に経験されている方達のアウトプットが大事になってきますね。

あ、そしたら二人でYouTubeとかやったら解決ですね!笑

Editor & Text & Photos: 疋田 正志
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