日本のロースターが求めていたミドルレンジの焙煎機──EASYSTER(イージースター)
ミドルクラスのスペックで、コスパがよくて、アフターフォローもいい…そんな焙煎機をお探しの方に朗報。
R&D ESPRESSO LABの代表でありヘッドテクニカルの本田さんは、「もし僕が日本でお店を開いて使うなら、まず物選び基準です」と話す。マシンを選ぶにあたっては「高すぎるもの、ハイドのものっていうのは絶対いいものだし、うまくいくとは思うんですけど、そこじゃないなっていうところがあったんです」とも
そんな望みを叶えたのが、韓国の焙煎機トップブランドEASYSTERである。
性能と機能はピカ一だけど、価格はまあまあちょうどいい
本田さんがEASYSTERを選ばれたきっかけはなんですか?
焙煎機をやるのであれば、絶対的なやつを選ぼうというのがありました。これはR&Dの物選びの観点なんですけど、ハイエンドはあんまり狙わない。
僕がその構造とかメカニズムがわかってるので、もの以上に高いものってのは絶対選ばない。「お値段以上」じゃないですけど、性能と機能はピカ一だけど、価格はまあまあちょうどいいかなって感じのだけを僕は扱ってて。
コスパがいい商品には魅力を感じます。
日本はビッグロースターが多いわけじゃないんですよ。僕自身が元々コーヒー関係の営業やテクニカルをやってたんですけど、このお店にこのマシンを使う必要があるのか、というマシンを設置したり撤去する中で、例えば設置して1年で潰れたのを見てると、すごいミスマッチが多いなと思っていたので。
この日本の焙煎機の価格帯の穴が、ミドルなところ。そのミドルのスペックでいいものを探した結果、たどり着いた。
EASYSTERは、ラインナップの良さもあって、みんなが欲しかったサイズ感、しかもコスパがめちゃくちゃいい!
数年で日本のトップブランドになる
韓国では、EASYSTERのような焙煎機メーカーはほかにもあるんですか?
ありますね、中国からの安い焙煎機もあるし、ストロングホールドも、USの資本が入ってるので違う動きはしてますが、韓国ですし。
でも、韓国が正当に作ってきた焙煎機は、小型サイズ。EASYSTERは、その小型サイズを支えてきたメーカーで、ブランディングの良さや作りの良さにはすごく定評があるので、韓国では一番使われています。
韓国で一番使われてるんですか!
そう、圧倒的ナンバー1です!EASYSTERは数年で日本のトップブランドになると思います。
aillioを扱ったことで日本の焙煎機のマーケットが分かってきたんです。しっかりとアフターサポートと販売の環境を整えていった結果、世界でトップクラスの代理店に成長しました。
売った時に、お客さんの層を見ていると、本当はこの辺を求めてるんだなっていうのが見えてくるんです。
日本のニーズに合うミドルクラス
日本は、海外と比べて小規模のロースターさんが多いですが、サイズ感のちょうどいい海外製の焙煎機は、なかなか手が出せない価格帯ですよね。
モデルも新しくなって、元々ただでさえ高いハードルが、さらにどんどん高くなっていったっていうところですね。コロナとか戦争による円安相場の影響かわからないんですけど、すごい高くなってて、やりにくくなってきた。
日本のニーズってのは、ミドルから下っていうのが、aillioでわかった。 価格ってすごい大事なので。
そうですよね。海外製となればそれなりの価格になります。
日本のコーヒー文化は元々喫茶店なんですよ。大阪には味のある喫茶店が今でもあって、モーニングなんかトーストとサラダとコーヒーのセットで300円ちょっとみたいな。
スペシャルティコーヒーのブームでその傾向も大きく変わって、海外の影響を大きく受けた結果、海外製ブランドの焙煎機がよく使われるようになりました。唯一無二の性能で値段も高く、手の出しにくいものでした。
その性能に匹敵するコスパの優れたEASYSTERを日本に投入したら、日本のコーヒーマーケットはどんなことになるんだろうか?「必ずプラスに働くはずだ」と思いました。
サイズもかなり揃っているようですが、全て購入可能なんですか?
全部買えます。1.8kgはかなり売れると思います。日本でのスタートのしやすさやさ、200万前後でこれだけの高級のもので、1.8kgって2kgサイズだからめっちゃいいじゃないですか。
800gもあるんですけど、100万ぐらいするので、1.8kgの方がコスパはいいかなと思いますね。
1.8kgは卓上なんですね。
そうそう卓上です。専用の台がオーダーできるので、それをつけたら可愛いです。
チョイスがいいですね。EASYSTERのクラスって今まで不思議なぐらいなかったですもんね。
ちょうど中間抜けちゃって、ディードリッヒも卓上型の2.5kgが人気だったんですけど、廃盤になってしまって。
よくお店で見かけるのが1kgか3kgなので、日本はそこなんですね。1kgはaillioがもうマーケットでトップなので、次は3kgなんです。
3kgがあまりないですよね。次は5kgになっちゃいますもんね。
そうそう(笑) EASYSTERの2.8kgはシンプルやデザイン性の良さあって、しっかり自家焙煎してます、ていう存在感もあります。
ロースターって看板を掲げた時に、焙煎機があるかないかでは、お店のブランドがすごく違ってくると思うんです。
aillioも良い意味でコンパクト過ぎるので、存在感という点では劣ってしまいますね。
もし自分がロースターだとしても、EASYSTERみたいな焙煎機があるとモチベーションは上がりますよね。毎日の焙煎がちょっと楽しくなるみたいな。
断然楽なんです。さすがに物が違う。EASYSTERを使ってたら、aillioがおもちゃに感じるかも(笑)
だけど、aillioもこのクオリティの焙煎ができるので、改めて驚かされています。
深煎りもしっかり焙煎できますか?
もちろんできます。感じがオールドプロバットにかなり似てます。焙煎機って、蓄熱性とバーナー出力、あとドラムとバーナーのバランスとコントロール性だと思うんですね。
蓄熱性の高い焙煎機で、バーナーが強いと温度が下がらないのでコントロールが難しくなります。 昔のプロバットは、排気コントロールはダンパーしかなかったんですけど、今のギーセンみたいにガス圧力を細かに調整できて、排気ファン出力やドラム回転数を変えられると、理想の焙煎のコントロールが実現します。
ドラム回転数が固定だと、それに合わせてダンパー調整をし、スコーチング(表面焦げ)が起きないように投入温度と量を調整するしかありません。ドラム回転数を変えれるなら、スピードを上げるだけで解決できるかもしれません。
こう考えると、日本のモノづくりなら作れそうな話なんですけど。
ということは、回転数とかも変えられるんですか?
全部変えられます。ドラムの回転数変えれるのはでかいです。それってみんなインバーターを後付けでやってるところですし。あとはバーナー出力がすごい余裕があるというとこですね。ギーセンと同じソケットタイプバーナー使っていて、熱効率がすごくいい。そして、ドラム構造と蓄熱性。
要はこの3つの条件が整っていれば、大体ちゃんとしたロースターならコントロールできるのではと。
値段は全てフルオプション込みなんですね。
ガス圧を細かく調整できるデジタル圧力メーター、ドラム内の状態を把握するためのドラム内圧デジタルメーター、ドラム回転スピード用インバーターは、EASYSTERの魅力を最大限体感してもらいくて、全てフルオプション込みの値段になってます。
排気ファンのスピードコントロール、豆温度、排気温度、プロファイル管理ソフトへの接続、クーリングしながらの焙煎、チャフサイクロンは標準装備です。
ガスの圧力はサンプル焙煎機にはオプションでつけてますけど、デジタルで1単位で見れるので、コントロールがすごくしやすい。そういう細かいところに手が届く。
パーツへのこだわり
ベアリングなどの計器類は、日本製と聞きましたが。
そうです。Made in Koreaを大切にしているけど、ベアリングや圧力計は日本メーカーだし、モーターはドイツやイタリア。要所要所のパーツはその国の信頼できるブランドのものを使うのがオーナーの拘りなんです。韓国の認証の取れた鉄のみを使った鋳鉄製の重要なパーツとアッセンブリーは、もちろん自社工場で行います。
韓国のモノづくりの良さには正直本当に驚きました。
aillioとは真逆ですね。
aillioはまさに電子制御の焙煎機だけど軽くてコンパクトなのが強み。だけど、現場に行かないと直せないような焙煎機を扱う場合は、電子制御のものは扱いたくないと思ったんですよ。
マニュアルにこだわったマシンです。プロのロースターが欲しいものを、言うことちゃんと聞くような焙煎機に仕上げてます。電子制御の入ってないポルシェみたいな感じ。
故障した時が怖いと思うのですが。
そもそも設置する時にちゃんと指導して、メンテナンスをしていれば、壊れることはないです。
モーターは大丈夫ですし、ベアリングにグリスをちゃんと塗ってモーターの負荷がかかるようなことをしなければ壊れない。あとは焙煎機の排気ファンを1ヶ月に1回洗浄して、サイクロンさえ綺麗にしてとけば、10年単位ぐらいでちゃんと保ちます。
韓国で1番、EASYSTERのメンテナンスをしてる会社が言ってました。”本当にこの焙煎機はボタンしか壊れない。あとは大体清掃不良で何か壊れる。”そこ以外はないです。
マシンを見つける眼力
EASYSTERに限らず、どうやって見つけてくるんですか?
そうですね、どうやって見つけてるんでしょうね(笑)
僕もお客さんとの関わりが強いので。EASYSTERはプロのインポーターの方が、どこかの国の人がめっちゃいいらしいね、あれって。「ほぼプロバットの半値でプロバット」って話を聞いて、そのすげえ強力なキャッチフレーズはって(笑)
そういうのを聞いたりとか。もちろん自分でも調べますね。多分コーヒーのこと以外、考えてないことが少ない(笑)
コーヒー漬けですか!
EASYSTERを知ってからは、どうされたんですか?
通訳をつけて、韓国のEASYSTERに行ったんですけど。日本でやりたいですって話をした時に、日本はいつか出したいマーケットでもあったから、すごい探してた。たくさん問い合わせがあったけど、ほんとに来たやつは本田さんが初めてですって(笑)
R&Dだからできること
そうだったんですね(笑)
EASYSTERには見極める眼があったんですね。
EASYSTERの代表は、厳しい韓国の市場にジャストフィットさせて会社を成長させてきました。非常に鋭いマーケティングセンスを持ち合わせている方で、会った時に感じました。もしかすると、僕の日本で流行らせたいという熱意が自身の経験の何かと似ていたのかもしれません。
また、海外の展示会に行って面白いのは、ブースの大きさでその国ではどんな代理店で何のブランドが流行ってるか見えてくる事です。一番流行っているメーカーが日本で一番のものと違う事はよくあります。それはなぜか?
答えは、そのメーカーが流行るか流行らないかってのは代理店力が全てという事です。
代理店力とは?
要は信頼です。そして、最後にもう一つ大事なのがパッション。これがないと長い目で流行らないと思っています。
確かに、そう思います。
ものは、最後の売った後が大事なので。
代理店の信用はすごく大切です。売った後適当にしてると、そのブランド自体の価値が下がってしまう。逆にそこそこブランド力ものなら、そのやり方次第では国内トップブランドにまで育てる事だってできる。
販売後のアフターサポートはその意味がわかっているのと、そうでないのでは対応の質が変わってくると思います。代理店のコーヒーマシンテクニシャンの仕事の大抵はクレーム処理。会社のけつ拭きの嫌な仕事なんですが、実はブランド価値を守る為の最も重要な仕事をしてるわけです。
売りっぱなしだったら、簡単ですし。
世界的に見て僕らのようなメンテナンス体制を敷いている代理店は少ないと思います。とあるアメリカの代理店なんかは、アフターサポートが弱く、ほぼメーカーに丸投げというのも聞きますね。その分ユーザーは手間と時間がかかってしまって困ると思います。
だけど、R&Dのやり方はそうじゃない。あくまで現場に出向してスピーディに対応してきたフィールドーワークの経験を活かして、それをアフターサポート体制に落とし込む。コーヒーマシンテクニシャンなら直して当たり前、大事なのはユーザーの不安をいち早く取り除く事です。
R&Dさんのスピード感は皆さん話されてます。
色々ある中で、プロは一体何を選ぶのかっていう。物がいいけど壊れた時に対応が遅いところか、物は普通に良くてサービスもものすごくいいところか。そういうところって多分考え方だと思うんですよね。
そういうとこだと、日本製を選ぶ安心感ってのはありますよね。そう考えると、海外製品でも、代理店次第で変わってくるのは納得できます。
高いものですから、売った先1年1年ちゃんと案内して、点検してって。
皆さん、焙煎機はアフターフォローのことを気にされてるので。特に海外製は。
そうですね。ものによりますけど、デジタルなものか、アナログなもので大きく違うと思います。
EASYSTERみたいな最強のアナログ機のボタンの交換ならユーザー自ら出来ると思います。
アナログだと最低限の知識があれば、トラブルが起きても解決できるところがいいですね!
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