Only Roaster(オンリーロースター)

日本で最も動画配信のペースの早いコーヒー屋──コーヒーを軸にして楽しい広がりを作る

2020.04.09
動画の時と同じポーズをとる栢沼良行さんと入江さん

中米産スペシャルティコーヒー専門店のロースターとして知られるカフェテナンゴ。堀口珈琲で焙煎担当も務めた店主の栢沼良行さんは、日本人で初めてエルサルバドルのコーヒー学校で学ばれた方でもある。

そんな栢沼さんが目指すところは「日本で最も動画配信のペースの早いコーヒー屋」。YouTube の投稿にはユニークな動画が毎日投稿されている。

投稿内容は抽出検証や焙煎、マリアージュなどスタッフとのやり取りの中から生まれているという。カフェテナンゴでは焙煎やセミナーなどを担当されてる入江さんと対談していただき、動画を使った販売方法や動画に対する考えを語ってもらった。

ただ文章だけでは伝わらない部分も多い

入江 信文

まず、動画を始めたきっかけはなんですか?

栢沼 良行

もともとブログとかホームページで長い文章を書いてたんです。ただ文章だけでは伝わらない部分も多いし、これからは動画の時代だと言われてきてたので、動画でも発信したいと思ったのがきっかけですね。

ドリップする栢沼良行さん
栢沼 良行(かやぬま よしゆき)。堀口珈琲で焙煎担当を務めた後、コーヒー豆の勉強の為に単身中米へ。日本には輸出されていない数多くのコーヒー豆と出会い、中米スペシャルティコーヒーの専門店を作ることを決意。日本人で初めてエルサルバドルのコーヒー学校に入学。帰国後、2008年に深沢にカフェテナンゴ をオープン。
入江 信文

YouTubeの他にTikTokなどにも投稿してますよね。Instagramにも連携してアップされています。

栢沼 良行

そうですね。最初はニコニコ動画から始めたんですよ。ニコニコ生放送から始まったんです。

入江 信文

動画のスタートはニコ生での生放送だったんですね。

栢沼 良行

もともとは生放送でコーヒーの淹れ方とかを配信してたんです。そこから動画に残して行こうということで今YouTubeに変わりました。TikTokとかはもっと幅広くカフェテナンゴが動画を発信してることをもっと広げて行こうという一環でやってます。

入江 信文

YouTubeは2014年からスタートしています。

栢沼 良行

初めの頃は抽出の仕方や豆の紹介動画が多かったです。

入江 信文

今はシリーズ化を進めてますよね。

栢沼 良行

抽出検証シリーズとか、ドリッパーの違いで味がどう変わるかとか、お水を変えるとどういう風に味が変わるかとか。そういう検証系と、お菓子と合わせてコーヒーを楽しむとかマリアージュ系とか。あとは焙煎の講座というのもあるし、コーヒーにまつわるスペイン語講座もあるし、なんかもうなんでもやります笑

焙煎する入江さん
入江 信文(いりえ としひさ)。元パティシエ。お菓子とコーヒーのハイレベルな店を開業予定。目標に向かって真っすぐで、行動に移すのが早い。ライブでは「残念な若者」として人気を博す。焙煎、ライブセミナー、セミナー講師などを担当する。

どう言うふうにしてお家で楽しむかというところまで含めて全てが一つのコンテンツ

入江 信文

投稿内容はスタッフとのやり取りの中から大体生まれています。こんな感じでやりたいみたいな。

栢沼 良行

最近だとこどもバリスタ養成講座というのもやりました。コロナの影響で家に子供が篭ってるので、親と一緒にコーヒーを楽しもうみたいな動画も作ったりしています。

入江 信文

カフェインレスコーヒーを使ったおいしいカフェオレの作り方ですね!

栢沼 良行

動画単体というよりは、豆を焙煎して販売して、それをどう言うふうにしてお家で楽しむかというところまで含めて、全てが一つのコンテンツというか。そういう販売の仕方をしていこうという流れの中の一環なんです。

入江 信文

閲覧された方からの反響もありますよね。

栢沼 良行

お客さんからは観ましたよと、よく言ってもらえます。あと割と業界の人が観てるなっていう。会うたびに言われます笑

日本で最も動画配信のペースの早いコーヒー屋を目指しています

入江 信文

動画は毎日投稿してます。

栢沼 良行

そうですね。今は1日1本は上がってますね。日本で最も動画配信のペースの早いコーヒー屋を目指しています

入江 信文

栢沼さん演じるカヤヌマンや焙煎講座でおなじみスタッフKing Rio笑

栢沼 良行

キャラクター化を進めてて。なるべく楽しんで観てもらいたいんです!

入江 信文

覚えやすいですし。

栢沼 良行

どういうふうにコーヒー淹れるかなって時に観るというものではなくて、毎日観ていただいて、そこでなんとなくカフェテナンゴでああいうことやってたなみたいなので思い出してもらいたい。これをやりたいからこの動画を観るという感じではなくて、日常に溶け込んだ動画配信をしています

配信する側が楽しんでやってれば、絶対に観る人も楽しくなれるしその楽しさが伝わる

入江 信文

動画は撮ってる側も楽しいです。

栢沼 良行

楽しいですね。私がスタッフによく言うのは、配信する側が楽しんでやってないと観る人は楽しくないよと。配信する側が楽しんでやってれば、絶対に観る人も楽しくなれるし、その楽しさが伝わるので。カフェテナンゴのコーヒーを飲む時に、なんか楽しい動画があったなって思うと、そのコーヒーはその人にさらに幸せを与えられる。その商品を補完、補う意味というのがあると思ってます。

入江 信文

そうですよね。

栢沼 良行

生豆でコーヒー屋が差別化できる時代はとっくに終わっちゃってて。今の時代誰でもスペシャルティコーヒーって手に入れられるじゃないですか。

入江 信文

スペシャルティコーヒーが普及して、どこに行っても飲めるようになりました。

談笑する栢沼良行さんと入江さん
栢沼 良行

私が堀口珈琲にいた20年前はスペシャルティを専門に扱っていますというだけで、それがもう宣伝文句だったんです。今なんてスペシャルティコーヒー店なんて山ほどあって、そんなの差別化にも何もならない。

入江 信文

コーヒーだけで差別化するのは難しい。

栢沼 良行

それを考えた時に、カフェテナンゴは中米専門店という切り口も一応あることはあるんですけど、それだけでは弱い。それで仕入れから焙煎とか抽出とか、あとそれを販売して実際に家で楽しむ、それで動画を観てさらにカフェテナンゴの仕入れから販売、商品のところまで全部知っていただいてカフェテナンゴの一個のコンテンツとして繋がるようにしたいというのが今の考えなんです。

豆袋の裏のQRコードを読み込むとYouTubeの動画にリンクします

入江 信文

カフェテナンゴでは豆を買うと、パッケージ袋の裏にQRコードがついています。

栢沼 良行

そのQRコードを読み込むとYouTubeの動画にリンクします。実際飲んでる動画だったり抽出の動画だったり。なので一商品一動画必ずあるようにしようというのを今勧めています。なのでめちゃくちゃに動画を上げてるようですけど、ちゃんと目標と計画をもってアップをしています。

入江 信文

コーヒーはエンタメですか?

栢沼 良行

そうですね。楽しく飲むってのが一番だと思ってるので。コーヒーを軸にして楽しい広がりを作れればいいかなと思っています。

Photos & Interview & Text & Editor: 疋田 正志
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