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焙煎で勝負する醍醐味、JCRCとTiRCの舞台裏──FINETIME COFFEE ROASTERS 近藤剛

2020.02.09
FINETIME COFFEE ROASTERS

2019年8月、SCAJが主催するジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)で見事2位に輝いたFINETIME COFFEE ROASTERSの近藤剛さん。

その上位2名に出場資格が与えられる台湾のTaiwan International Specialty Coffee Association(TISCA)が主催する焙煎大会、TISCA International Roaster Cup(TiRC)が同年11月に開催された。各国から集まったトップロースターたちを相手に、日本人初となる優勝を果たした。

その快挙の裏側には、どのような挑戦と工夫があったのか。ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)準優勝からTISCA International Roaster Cup(TiRC)制覇までの道のりについて、詳しく話を伺った。

厳しいエントリーと予選の流れ

編集部

ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)って出場するのも大変って聞きますが、どうやってエントリーするんですか?

近藤剛

そうなんですよ。定員が50人なんですけど、ネットでの早押しですぐ埋まるので、まずはその戦いに勝たなきゃいけないんです(笑)。

FINETIME COFFEE ROASTERS
近藤 剛(こんどう たけし)。企業の財務部所属中にMBAを取得、その後外資系金融会社に転職。退職後の2016年、FINETIME COFFEE ROASTERSを開業。店名には「良いコーヒーと良い時間を」という思いが込められている。日本エアロプレスチャンピオンシップ3位入賞、Qグレーダー資格者。
編集部

エントリーだけでも競争が激しいんですね。本番はどんな流れなんですか?

近藤剛

予選当日に初めて課題豆が明らかになって、そこからスタートです。

1時間半以内にフジのディスカバリーのサンプルロースターで6バッチ焙煎します。時間ギリギリまで焼いて、その後ハンドピックしてカッピング。

カッピングした中から一番いいと思うロットを提出します。

編集部

それだけで決まるんですか?

近藤剛

いえ、その後、審査員がカップして評価するんですが、予選ファイナルに進めるのは上位10名だけです。最終的には6人が決勝に進みます。

焙煎機とプロファイル作り

編集部

焙煎機も普段と違うものを使うんですよね?

近藤剛

そうです。ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)では完全熱風式のLoring 7kgを使うんですが、関東には同じ焙煎機がないんですよ。

そこで、PHILOCOFFEAの粕谷さんの知り合いにお願いして、試し焼きさせてもらいました。神戸のDCSさんでも3時間ほど練習して、プロファイルを作り込んで本番に臨みました。

編集部

他の選手も似たような練習をしているんですかね?

近藤剛

そうだと思います。本番ではグリーングレーディングから始まって、サンプル焙煎をします。シングル用の課題豆はコロンビアだったんですが、30分しか時間がなくて、2回が限界。サンプルをカッピングして味を確認し、どんな味に仕上げるか宣言しなきゃいけないんです。それが的確じゃないと減点されます。

国際大会への挑戦

編集部

台湾でのTISCA International Roaster Cup(TiRC)にも出場されたんですよね?

近藤剛

はい。ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)の上位2名が出場資格を得る大会です。課題豆はコロンビアのピンクブルボンで、これも当日に発表されます。

焙煎機はGIESENの6kgを使うんですが、近所のPASSAGE COFFEE ROASTERYさんにお願いして貸してもらいました。召集が3週間前で準備期間が少なかったんですが、何とかプロファイルを作りました。

編集部

TISCA International Roaster Cup(TiRC)とジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)の違いは何ですか?

FINETIME COFFEE ROASTERS
近藤剛

TISCA International Roaster Cup(TiRC)は味だけで評価されるシンプルな形式です。課題豆をサンプルロースターで焼いてカッピングして提出するだけ。味の宣言も不要なので、純粋にカップの評価で勝負します。

編集部

実際の大会ではどうでした?

近藤剛

おかげさまで優勝できました!

それまで日本人が勝ったことがなかったので、すごく嬉しかったです。他の選手の焙煎プロファイルも大画面で映されるので、それを見るのも面白かったですね。

編集部

すごい!焙煎機を貸してもらったり、情報共有してもらったり、周りのサポートも大きかったんですね。

近藤剛

そうですね。皆さん包み隠さず情報を教えてくれるので、本当に助かりました。コーヒー業界の温かさを改めて感じましたよ。

Photos & Interview & Text & Editor: 疋田 正志
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