焙煎で勝負する醍醐味、JCRCとTiRCの舞台裏──FINETIME COFFEE ROASTERS 近藤剛

2019年8月、SCAJが主催するジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)で見事2位に輝いたFINETIME COFFEE ROASTERSの近藤剛さん。
その上位2名に出場資格が与えられる台湾のTaiwan International Specialty Coffee Association(TISCA)が主催する焙煎大会、TISCA International Roaster Cup(TiRC)が同年11月に開催された。各国から集まったトップロースターたちを相手に、日本人初となる優勝を果たした。
その快挙の裏側には、どのような挑戦と工夫があったのか。ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)準優勝からTISCA International Roaster Cup(TiRC)制覇までの道のりについて、詳しく話を伺った。
厳しいエントリーと予選の流れ
ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)って出場するのも大変って聞きますが、どうやってエントリーするんですか?

そうなんですよ。定員が50人なんですけど、ネットでの早押しですぐ埋まるので、まずはその戦いに勝たなきゃいけないんです(笑)。

エントリーだけでも競争が激しいんですね。本番はどんな流れなんですか?

予選当日に初めて課題豆が明らかになって、そこからスタートです。
1時間半以内にフジのディスカバリーのサンプルロースターで6バッチ焙煎します。時間ギリギリまで焼いて、その後ハンドピックしてカッピング。
カッピングした中から一番いいと思うロットを提出します。
それだけで決まるんですか?

いえ、その後、審査員がカップして評価するんですが、予選ファイナルに進めるのは上位10名だけです。最終的には6人が決勝に進みます。
焙煎機とプロファイル作り
焙煎機も普段と違うものを使うんですよね?

そうです。ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)では完全熱風式のLoring 7kgを使うんですが、関東には同じ焙煎機がないんですよ。
そこで、PHILOCOFFEAの粕谷さんの知り合いにお願いして、試し焼きさせてもらいました。神戸のDCSさんでも3時間ほど練習して、プロファイルを作り込んで本番に臨みました。
他の選手も似たような練習をしているんですかね?

そうだと思います。本番ではグリーングレーディングから始まって、サンプル焙煎をします。シングル用の課題豆はコロンビアだったんですが、30分しか時間がなくて、2回が限界。サンプルをカッピングして味を確認し、どんな味に仕上げるか宣言しなきゃいけないんです。それが的確じゃないと減点されます。
国際大会への挑戦
台湾でのTISCA International Roaster Cup(TiRC)にも出場されたんですよね?

はい。ジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)の上位2名が出場資格を得る大会です。課題豆はコロンビアのピンクブルボンで、これも当日に発表されます。
焙煎機はGIESENの6kgを使うんですが、近所のPASSAGE COFFEE ROASTERYさんにお願いして貸してもらいました。召集が3週間前で準備期間が少なかったんですが、何とかプロファイルを作りました。
TISCA International Roaster Cup(TiRC)とジャパン コーヒー ロースティング チャンピオンシップ (JCRC)の違いは何ですか?


TISCA International Roaster Cup(TiRC)は味だけで評価されるシンプルな形式です。課題豆をサンプルロースターで焼いてカッピングして提出するだけ。味の宣言も不要なので、純粋にカップの評価で勝負します。
実際の大会ではどうでした?

おかげさまで優勝できました!
それまで日本人が勝ったことがなかったので、すごく嬉しかったです。他の選手の焙煎プロファイルも大画面で映されるので、それを見るのも面白かったですね。
すごい!焙煎機を貸してもらったり、情報共有してもらったり、周りのサポートも大きかったんですね。

そうですね。皆さん包み隠さず情報を教えてくれるので、本当に助かりました。コーヒー業界の温かさを改めて感じましたよ。
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